犬と人間が共に住みやすい家・・・山荘設計の基本コンセプ
トであった。出来るだけ室内空間を広く、大型犬が自由に行動
できる空間を創り出すことはかなりの難題であった。
外観をチューダー調に仕上げるため参考にした英国住宅はど
れも間取りが狭く、一部屋面積が小さくて複雑な部屋取りの設
計ばかりであった。当初の犬の背骨への影響等を考え一階を犬
たちとの団欒の場所兼書斎と寝室にという考えをがらりと変え、
二階に書斎、寝室、犬たちの自由空間という百八十度の方針転
換を図った。
階段の勾配を緩くして段数を増やし、途中に踊り場を設け犬
たちへの負担を少しでも軽減できるようにし、廊下・階段を含
め、室内は犬たちの肢が滑らないように全て絨毯仕様にした。
問題は身体に優しい暖房としての薪ストーブであった。ストー
ブの重量およそ二百キロ、それに煉瓦造りの炉台・・・約1ト
ン近くの重量を支えるための設計施工となった。
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長野県からトラッククレーンで運ばれてきたストーブを二階
へ搬入。ベランダから炉台までは人力での搬入であった。総勢
六名が、なんと一メートルずつ運ぶのが精一杯である。
丸一日がかりでストーブと煙突の設置が終わり早速初焚きで
ある。あっけないほど簡単に着火作業は終わり、炉内で赤い火
が燃え広がる。三十畳超の書斎がゆっくり暖められる。当初想
像していた火照る感じというのは全くなかった。説明されてい
た「柔らかな暖かさ」というのを実感する。
何度かの慣らし運転が終わり本格運転が始まった。想像して
いた以上の暖房能力であった。巡航運転で室温は28度、それ
もベランダの窓を開けておいてである。ソープストーンの蓄熱
力も素晴らしかった。ストーブの火が消えてから10時間以上
経っても室温を維持してくれていた。
暑がりで寒がりの蘭やロビンたちの格好の場所が完成したよ
うである。
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