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他の原子力発電所で発生したトラブルに関する伊方発電所の対応状況

(平成19年1月発生分)
定期検査中の東京電力兜沒第一原子力発電所2号機の
原子炉手動停止の原因と対策について
発生年月日 平成19年1月17日
プラント名 東京電力兜沒第一原子力発電所2号機 (福島県双葉郡大熊町)(BWR)
トラブルの
概要と原因
1.事象の概要
 定期検査中の福島第一原子力発電所2号機で、原子炉の起動操作を実施していたところ、自動減圧系の回路に地絡が発生したことを示す警報が発生したため、起動操作を中断し、点検を行っていた。点検の結果、格納容器内で地絡が発生している可能性が高いことから、原子炉を手動停止し、原因調査することとした。

2.調査結果
 調査の結果、以下のことが分かった。
  • 自動減圧系の逃がし安全弁(以下「当該弁」という。)用の電磁弁に直流電源を供給するためのケーブル(以下「当該ケーブル」という。)を収納しているフレキシブルチューブ(以下「当該チューブ」という。)が主蒸気系配管サポートと計装用圧縮空気系配管サポート(以下「当該サポート間」という。)の間隙に挟みこまれ潰れており、当該ケーブルが損傷していた。
  • 当該チューブの外径は約25mmであるが、挟みこまれていた箇所は最小で約11mmまで潰れていた。また、本事象発生後の内部点検時に約14mmであった当該サポート間の間隙は、原子炉冷温後は約40mmであった。
  • 当該チューブは、サポートに固縛されていない状態にあり、移動しやすい状況にあった。
  • 今回の定期検査時に行った当該弁の点検作業において当該チューブを取り外したが、作業後に当該チューブの布設状況を確認していなかった。


3.推定原因
 今回の定期検査時に当該チューブを脱着した際、当該チューブが引っ張られて当該サポート間に落下し、加えて、原子炉起動による主蒸気系配管温度の上昇に伴う同配管サポートの熱移動により、当該サポート間の間隙が狭まったことから、当該チューブが潰れ、当該ケーブルが損傷し、地絡したものと推定された。

4.対策
  • 当該ケーブル及び当該チューブを新品と交換する。
  • 当該チューブのうちサポート等で挟まれやすい箇所についてはサポートに固縛する。
INES評価結果 レベル 0−
伊方発電所
の対応状況
 伊方発電所においては、ケーブル布設にあたっては、ケーブルが損傷することのないよう、電線管やフレキシブルチューブに収納し、布設ルートについても特にフレキシブルチューブについては配管サポート等から離したり、必要に応じて固定するなど、適切に施工しています。このため、同様の事象が発生することは考えにくい。
 なお、念のため、パトロール等で同様な箇所がないか確認することとする。

九州電力(株)玄海原子力発電所2号機の定期検査中に発見された
余剰抽出配管のひび割れについて
発生年月日 平成19年1月24日
プラント名 九州電力褐コ海原子力発電所2号機 (佐賀県東松浦郡玄海町)(PWR)
トラブルの
概要と原因
1.事象の概要
 玄海原子力発電所2号機は、平成18年11月14日から第20回定期検査を実施しているが、配管の超音波探傷検査※1を実施していたところ、余剰抽出配管※2に欠陥 を示す有意な信号指示が認められた。
 このため、信号指示が認められた当該配管について、発電所において調査を行った後、当該部を切り出し、外部の調査機関において詳細調査を実施した。その結果、配管の内表面に長さ約90o、深さ約8.1oのひび割れが確認され、評価を行ったところ、当該配管は技術基準を満足しないことが判明した。
 なお、本事象による外部への放射性物質の影響はない。
1 : 超音波探傷検査
構造物の欠陥を検出するための非破壊試験法の一つ。構造物に入射した超音波が構造物の内部を伝搬し、欠陥に当たって跳ね返ってくる反響を観察することにより、欠陥の形態、形状、寸法を調べる方法。
2 : 余剰抽出配管
1次冷却水の回収や水質調整のため1次冷却水の抽出を行う際、通常の抽出系統に加えて抽出を行う場合等に使用する配管。

2.調査結果
(1) 余剰抽出水系統取出配管エルボ部(以下「当該エルボ部」という。)の配管内面について浸透探傷検査を実施した結果、当該エルボ部の曲がり部背側に長さ約90oのひび割れ (以下「主ひび割れ」という。)及びそれとほぼ直角方向に長さ約20oのひび割れ (以下「副ひび割れ」という。)が確認された。
(2) ひび割れを開放し、破面観察を行った結果、主ひび割れの破面は全体的に平坦であり、疲労破面特有のビーチマーク※3、ステップ※4及び組織状模様※5が確認された。また、 断面ミクロ観察の結果、主ひび割れは材料組織の結晶粒内を板厚方向に対して分岐せず、曲線的に進展していた。
(3) 副ひび割れの破面は全体的に平坦であり、ステップや組織状模様が確認された。
(4) 当該エルボ部の材料不良、腐食、延性破壊は認められなかったが、内面に高温水と低温水の境界面(熱成層)の痕跡と考えられる茶褐色の模様が確認された。
(5) 余剰抽出水系統の運転履歴等を調査した結果、余剰抽出水系統取出配管は、原子炉運転中、通常は下流側を弁で閉止しており、閉塞分岐管になっていることが確認された。
(6) 余剰抽出水系統の調査・点検履歴を確認したところ、第15回定期検査(平成12年)において他社のトラブル事例を受けて自主的に調査を行い、キャビティフロー※6の先端が当該エルボ部の曲がり部にあること及び超音波探傷検査を実施し欠陥を示す有意な信号指示がないことを確認していた。また、蒸気発生器の取替えを実施した第16回定期検査(平成13年)においても、キャビティフローの先端の位置に特段の変化はなく、熱疲労評価上問題ないことを確認していた。
(7) しかしながら、当該エルボ部の熱成層による高サイクル熱疲労評価を行ったところ、蒸気発生器取替え前においては、温度変動が短周期で、その温度変動幅も大きいことが分かり、その結果、蒸気発生器取替え前の温度条件では、繰返し応力が疲労限を越え、熱疲労割れが発生する可能性があることがわかった。
(8) また、モックアップ試験を実施した結果、第15回定期検査当時の超音波探傷検査では、検査機器等の問題から、今回のような小口径エルボの管軸方向に対して傾きがあるひび割れに対しては検出性が低下し、欠陥を検出できない可能性があることが確認された。
3 : ビーチマーク:
疲労によりき裂が進展する際に、環境や荷重条件等が変動することによりき裂面が変化し、縞模様となっているもの。
4 : ステップ
疲労による複数のき裂はいくつかの異なる面を進展するが、進展の途中に異なるき裂が繋がった際にできる段差が、筋状になって現れる模様。
5 : 組織状模様
疲労破面に現れるミクロ的破面模様の一種で、1サイクル当たりのき裂進展速度が比較的小さい領域において特徴的に観察される。
6 : キャビティフロー
液体の混合部において、高温の主管流れに誘起され、低温の閉塞分岐管内に高温水が渦の形態をもって流入する流れのこと。

3.推定原因
 以上の調査結果より、本事象の発生原因は以下のとおりと推定された。
(1) ひび割れの原因
 当該エルボ部の曲がり部にはキャビティフローの先端が存在し、蒸気発生器取替え前の短周期かつ大きな温度変動の条件下で、原子炉の運転に伴い発生する局部的な温度変動による繰返し応力が疲労限を超え、疲労き裂が発生し、進展した。
(2) 発見に至った経緯
 ① 第15回定期検査の際に、温度測定を実施し当該エルボ部の曲がり部にキャビティフローの先端があることを確認したが、超音波探傷検査により欠陥を示す有意な信号指示がなかったことから、問題がないものと判断していた。
 ② 蒸気発生器の取替えを実施した第16回定期検査において、再度温度測定を実施し、キャ ビティフローの先端位置は第15回定期検査時から変化がないことを確認していた。
 ③ 平成17年に原子力安全・保安院から発出された指示文書(「発電用原子力設備に関する技術基準を定める省令の改正に伴う電気事業法に基づく定期事業者検査の実施について」(平成17・12・22 原院第6号 NISA-163a-05-3))を受け、当該エルボ部における熱疲労発生の可能性を評価したが、この際、① 及び ② により蒸気発生器取替え前には当該エルボ部に問題がないと判断していたため、蒸気発生器取替え後の温度測定データによって疲労評価を実施し、問題ないことを再確認していた。
 ④ しかし、実際には、蒸気発生器取替前の厳しい熱成層条件下で発生したひび割れが、その後の繰り返し応力の作用により既に発生・進展しており、今回の定期検査の際には、そのひび割れが幅方向に拡大していたことにより、超音波探傷検査で有意な信号指示として検出され、発見に至ったものである。

4.対策
(1) 1次冷却材配管管台との接続部から当該エルボ部を含む下流側配管の一部を取り替えることとし、キャビティフローの先端が水平部に位置するよう施工する。
(2) 念のため、今回取替えを行う配管近傍について、プラント起動時に温度測定を実施し、熱成層の発生状況を把握することにより対策の妥当性を確認する。
INES評価結果 レベル 0−
伊方発電所
の対応状況
 伊方発電所では、1、2、3号機全てにおいて日本機械学会基準「配管の高サイクル熱疲労に関する評価指針」に基づき当該部の高サイクル熱疲労評価を実施し、原子力安全・保安院に報告しております。
  • 1、2号機については、キャビティーフローの先端位置が当該エルボ部の曲がり部に無く、問題無いことを確認しております。
  • 3号機については温度測定データに基づき疲労評価を実施し、問題無いことを確認しております。また玄海2号機と異なり蒸気発生器取替工事を行っておりませんので、このことを考慮する必要はありません。
 なお、本事象を受けて原子力安全・保安院より発出された、「高サイクル熱疲労に係る検査に対する要求事項について」の要請事項に基づき、適切に対処していくこととしています。


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平成18年11月発生分 平成19年2月発生分

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