MIMIの病気
   (滲出性中耳炎の説明です)

      
        鼓膜の下半分に茶色の滲出液があります


最近鼓膜の奥に水が貯まって聞こえにくくなる滲出性中耳炎の子供が急に増えて

なかなか治りにくい場合が多い為に耳鼻咽喉科の先生も本当に困っています。

子供の滲出性中耳炎は基本的には急性中耳炎に引き続いて起こっている状態と

考えられますので風邪、急性中耳炎がなければ本来起こらないものでしょうが


                     

     (滲出性中耳炎の原因は) 

以下のようないろいろな原因が考えられています。

1、年齢と共に患者さんの数が変動する(3才から7才くらいに多くてその後
  8才くらいから急に少なくなる)ので鼻の奥にある扁桃腺(アデノイド)の
  肥大と関係している。

2、アレルギー性鼻炎の子供に多いのでアレルギーが関係する。

3、太った子供、偏食の子供がなりやすい(?)

4、まだ抵抗力がなくて風邪にかかり易い子供に多いので免疫に関係ある。

5、鼻の奥から耳につながった耳管がつまったままで開かない為である。

6、抗生物質の乱用が関係している。

7、口蓋裂の子供に多い。 


などなどの論じられていますがまだまだ本当の原因はよく分かっていません。

昔は中耳カタルと呼ばれていましたが,最近では滲出性中耳炎

(しんしゅつせいちゅうじえん)という呼び名で統一されています。

恐らく本来の滲出性中耳炎は風邪やアデノイド(鼻の奥突き当たりにある

扁桃組織)の為に耳管がつまり中耳腔に鼻から空気が入らなくなり,次第に

中耳腔の空気が周囲の組織に吸収されて中が陰圧(耳の外より)になり

中耳腔の粘膜から液が滲出(しみだした)した結果であろう推測される。

そこで耳管の機能が正常に回復するとそこから排液がおこり治ると考え

られます。

 


 

        (滲出性中耳炎の治療は


1、鼻やのどの局所治療で鼻の奥の炎症(腫れ)を出来るだけおさえる。

2、中耳腔に貯まった液が鼻の奥へ出やすくするような薬を飲む。
  (但しそんなに効果的な薬は今のところありません)

3、鼻から耳へ空気を送って(耳管通気)耳管を広げる。

       (ゴム球を使って鼻から耳へ空気を送っているところ)
       

4、自宅で鼻から耳へ空気を送る治療をする。
  耳抜きといって鼻の奥からl鼓膜の方へ風を送り耳管を広げる治療ですが
  子供には難しいので風船を使って行ないます。
       
       (オトヴェントという風船で鼻から空気を耳へ送っているところ)
       

5,どうしても治らない時は鼓膜を切開して貯留液を吸い出します。
  最近は鼓膜の麻酔が進歩しましたのでほとんど痛みがなく鼓膜切開出来ます。

 
      (イオン麻酔をすると約15分ほどで鼓膜は麻酔されます)
       


       (右鼓膜が落ち込んで茶色の液が貯まっています)
       


       (上の鼓膜を切開した瞬間ですが痛くはありません)
       

        切開翌日の所見です
       (鼓膜切開後しばらく切開創があるように創を広げました)
       


6,さらにひつこく治りにくい場合は鼓膜にチューブを留置して換気をします。  


       白いテフロンチューブです(3ケ月ほどをめどに入れます)
       


などが一般に行われています。

チュウブには長く入れておくものや,比較的短期間入れておくものなどいろいろ

種類がありますので患者さん一人一人で違ってきます。

もっと細かな疑問点は専門の先生に御相談くださるようにお願いいたします。
  

  最後に可愛い患者さんを御紹介します。

       

       久米 香 ちゃん
 
     滲出性中耳炎の説明はおわります



        これで みみ 終ります         (平成12年 秋)