庵治温泉
(Aji Onsen)



 今や、映画「世界の中心で、愛をさけぶ」のロケ地として、すっかり有名になった庵治町。
 その庵治半島の先には、”瀬戸内海の絶景を臨む露天風呂 ”をうたい文句にした庵治観光ホテルがある。ここが庵治温泉である。

 フロントで入浴料金を払うと貸しタオルがついてくる。浴室にはボディソープとシャンプーも備わっているので手ぶらで行ける温泉だ。
 さて、脱衣所から浴室に入ると、露天風呂と内風呂のそれぞれのゾーンが完全に仕切られているのに気づく。
 露天ゾーンに足を踏み入れると、いよいよ目の前には瀬戸内海の穏やかな海が広がる。手前に三つ、稲毛島、兜島、鎧島。そしてその向こうには小豆島が見える。露天風呂に浸かってしまうと瀬戸内の海と島々は視界から消えるが、かわって上方から半島の緑と空が目を楽しませてくれる。そしてちょうど目の高さには、砂利石の上に置かれたタヌキとカエルの2体の石像がじっとこちらを見ている。
 露天は岩風呂になっていてお湯の温度は少しぬるめ。体感40℃くらいか?そのためか、たっぷり首までつかっていても長湯ができる。聞こえてくるのは鳥のさえずりとお湯の音。ここは本当に静かだ。人に教えたくない大人の隠れ家といったところかもしれない。

 同じ露天ゾーンにはサウナと水風呂もある。サウナは意外に広く、6名は裕に座れる快適さだ。室内にはアナログ式の12分計と温度計があり、温度計の針は98℃を指している。室内からドアの窓ガラス越しに海が見える。そして、先ほどのタヌキとカエルがこちらを見張っている。なんとも計算し尽くされたレイアウトだ。
 サウナと水風呂の位置関係にも無駄がない。サウナを出て3歩の位置で水風呂が迎えてくれる。水風呂は家庭用の白いバスタブタイプ。水道水のためかそれほど冷たくはない。形が普段入り慣れている家庭用バスタブなので不思議に落ち着く。ただし、定員1名なので、順番待ちが出来ないように気をつけよう。

 内風呂ゾーンには大浴槽がひとつ。海側はサッシになっているので、ここからもナイスビューが楽しめる。それにしてもさっきから海を見ていると、大小幾つもの船が瀬戸内海を行き交う。外国船籍の大型タンカーから小さな漁船まで。目で追っていると時間が過ぎるのを忘れてしまいそうなほど穏やかな瀬戸内海の風景画が展開する。

 日帰り入浴、特にウイークデーのアフタヌーンを誰にも知られず、ゆっくりと自分だけの時間を楽しみたいなら、ここ庵治温泉はおすすめだ。設備自体に古さは感じる(男湯)が、掃除が行き届いており清潔感がある。

 男湯からのレポートはこういったところ。で、聞くところによると男湯は昔からあったお風呂を改装したものだが、女湯は新しく造ったものなので、こちらはかなり綺麗らしい。宿泊客用の朝風呂では男女の浴室が逆になるので、どうしてもという人は宿泊しよう。

 ちなみに脱衣所に貼られた温泉分析書によると、お湯の泉質は硫黄泉、効能は、リウマチ、神経痛、胃腸病、皮膚病、糖尿病など。


住所 入浴料 サウナ TV 営業時間 定休日
庵治町江の浜5494 800円 × 11:00〜16:30 なし

取材:銭湯愛好会



 
 戻る