富士の湯
(Fujinoyu)



 練馬区は東京23区の中で最も新しい区であり、昭和22年に板橋区より分離独立した。「練馬大根」の名前が知られている通りの田園地帯であったが、今は都心のベッドタウンである。

 練馬の名前の由来はあまり定かではないようだ。「続日本紀」において、「武蔵国の駅・乗潴」を「のりぬま」と読み、なまって「ねりま」となったという説があり、他には、赤土を「練る場」だったからという説もがある。

 今回紹介する富士の湯は、関越道&外環道・大泉JCTに程近いところにあり、白塗りの壁が際立つ破風造りの銭湯である。

 富士の湯という名前から、浴室の壁画は富士山なのだろうかと思ったのだが、壁画はなかった。その代わりに、鯉が泳ぐ池のある庭が、脱衣室側から、浴室側にわたって造られており、浴室の洗い場から、水族館のように池の中の鯉を覗き見ることができるようになっている。池の中にはさまざまな大きさ、色の鯉がおり、数は少ないが、大きな金魚もいる。鯉とにらめっこしながら体を洗うことができるのだ。

 脱衣室側には縁側があり、風呂上りに鯉を見ながらくつろぐことができる。その脱衣室であるが、ロッカーは20個。但し、このロッカーだけでは明らかに数が足りないので、大きな籠が30個近く置いてある。ロッカーを使うか、籠を使うか、その人の性格が現れるところだ。

 脱衣室には、石鹸類の販売、飲み物の販売、アイスクリーム(各100円)の販売がある。
 飲み物は、350mlの缶ビールが250円と良心的な価格!他には、牛乳とポカリスエットが110円、りんごジュースと缶コーヒーが120円となっている。

 浴室に入る。
 浴室には板バネ式の椅子と黄色い洗面器がある。この黄色い洗面器はケロリン桶ではなく、富士の湯のオリジナル桶である。洗い場は29箇所。他にシャワーブースが1箇所ある。
 浴槽は2槽。気泡風呂と、ジェット風呂。湯温は45.5℃。かなり熱い。

 本日は、どういうわけか、小学生が多数入浴していた。30人はいただろうか。そのため、脱衣室も浴室も大賑わい。どこかのサッカーチームだろうか。
 ちなみに、女湯にも池はあるのだが、鯉はおらず、金魚だけなのだそうで、定期的な男湯と女湯の入れ替えもしていないという。男湯の方が得した気分である。

 今日はあいにくの雨であるが、脱衣室の縁側で入浴後のアイスクリームにかぶりつく。富士の湯には、都会の喧騒から隔離された、豊かな時間が流れていた。

 別棟にはコインランドリーもある。

(番台様、撮影へのご協力ありがとうございました。)


住所 入浴料 サウナ TV 営業時間 定休日
練馬区三原台1-30-1 400円 × × 16:00〜23:00 月曜日

取材:銭湯愛好会東京支部
取材日:2004年8月28日(土)



 
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