栄湯
(Sakaeyu)



 小平市の名前は、初めて開拓された場所が「小川村」であり、また地形が「平坦」だったところから、この名が付けられたということである。

 今回はその小川にある栄湯を紹介する。

 今までいくつかの銭湯を訪れるにつれ、煙突を見ると自然と体が反応するようになってしまった。「あそこで見た煙突はなんという銭湯か?」という疑問が湧き出てきて、インターネットで調べるという行為に及ぶ。
 西武鉄道で小川駅に近づいたとき、煙突が2本見えた。1本は確かに栄湯のものである。しかし、もう1本は?そんな探検をしながら、銭湯めぐりをする。これも楽しみの一つである。

 どうやらもう1本も銭湯の煙突であった。丁度、栄湯から見て、西武鉄道の線路をはさみ反対側に、福の湯という銭湯があったのだった。本日はあいにく定休日で、銭湯の梯子をすることはできなかった。次回訪れることにしようと思う。

 さて、この栄湯という銭湯、外観は木造モルタル造りで、中に入ると、普通の昔ながらの銭湯の間取りであった。脱衣室にはロッカーが72個。縁側には珍しいドライヤー椅子が鎮座しているが、使用可能なのだろうか。

 浴室には、あった、あった。何があったって、清瀬市の清の湯にもあった「18歳未満立入禁止?」の「多摩クリスタル」の広告である。今回はばっちり写真を撮っておいた。それにしても、この「多摩クリスタル」、清の湯からも、この栄湯からも全然近くないのだ。

 そしてもう一つ、いい物を見つけた。浴槽に入って上を見上げると、浴室と脱衣室の間の間仕切り上部ガラスに美しい絵を発見したのだ。ガラスを削って造るエッチング画だと思われる。合計で8枚あり、女湯側に4枚、男湯側に4枚並んでいるのだ。女湯側は昆布の絵が1枚、花の絵が1枚、美女の絵が2枚であるが、男湯側は美女の絵が4枚で、なぜか男湯の方の4枚だけは全部、美女の乳房が丸見えなのである。これではサービスが良すぎませんかねえ。

 浴室は洗い場が18箇所。他にシャワーブースが5箇所もある。銭湯に来てシャワーブースで体を洗っただけで「はい、さいなら」の客はいないと思うが、シャワー派の客にもうれしい設備である。浴槽は深風呂、浅風呂、寝風呂があり、湯温は41℃。珍しくちょっとぬるめの湯温である。おかげで、ぬるい湯が好きな私は大満足である。

 東京都浴場組合によれば、栄湯のキャッチフレーズは「月10回の入浴でロードショー御招待!」なのだそうである。番台様に「このキャンペーンは今でもやっているのですか?」と聞いたら、こんな答えが返ってきた。

 「そんなのがまだ載っているのですか?はい、やっていますよ。でもね、親しい人にそっと渡すんですよ。」

 なるほど。回数だけこなしてもだめなのだ。この銭湯コミュニティーの一員になり、番台様に気に入られ、仲良くしないと、ご招待はされない。
 この高そうに見えて、実は番台様の優しさに触れられる実に低いハードルが、この栄湯の素晴らしさなのだろう。

(番台様、無理やり番台様の写真撮影をさせていただき、誠に失礼いたしました。)


住所 入浴料 サウナ TV 営業時間 定休日
小平市小川西町3-26-4 400円 × × 15:00〜23:00 水曜日

取材:銭湯愛好会東京支部
取材日:2004年9月17日(金)



 
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