銭湯からイメージする歌は今の時代も神田川だろう。愛好会の高松支部がFM生出演の際、300人の観客を前に歌った感動の名曲だ。
銭湯の近くに川が流れ、踏切の音が聞こえ、そして電車が通りすぎる音が消えると静けさだけが残る。思わず空を見上げると空が夕焼けに燃えている。 そんなロケーションがぴったりなのが、松山の城北にある「清水湯」だ。 この付近は愛媛大学・松山大学の学生街で、松山大学西門付近にあり、東西に走る平和通りを北に入り、踏切を過ぎると「ゆ わきました」の看板が「くろがねの木」の前で風に揺れているのが見える。 この銭湯はコンクリート造りとなっているが、53年前の入浴心得が書かれた看板が脱衣場に残っている。 53年前の看板の内容は今の内容と大きくは変わっていないが、だた、タオル、櫛の貸し借りはしないこととが書かれている。 その時代の衛生状態が伺いしれる。 お風呂はシンプルそのものだ。大きい浴槽を3つに分け、バブル風呂、ジェットバスに区切っているが、行き来は出来る。もう一つ奥に水風呂があり、常時水を入れている。 我々が見るには3人が定員と思われるサウナが一番奥にある。細長い椅子がヒータの直前まで延びていて、座った時、足の先が前の壁に当たる。 一緒にサウナに入った川西さんが言うには、ビジーな時はサウナに6人入ってくるという。座席に詰めて4人、そしてドアの前に二人立っているという。 まさに裸のつきあいが出来るスペースだ。入った6人の目的は一緒だから、一体感が生まれ、もしかしたら神田川を皆んなで大合唱するかもしれない。 そんなアットホームな銭湯だから、番台のおかみさん・客層もいい、みんなフレンドリーだ。サウナの中の川西さんは我々を見て、見慣れない顔だと前置きしながらも、松山市内のお風呂事情を細かく話してくれた。 最後に川西さんは銭湯の湯銭300円から地元の経済についても話してくれた。まさに「風が吹けば桶屋がもうかる」のロジックだ。 もう一つ。取材が終わり、ラムネを飲み終わって一息ついていると、お客さんがやさしく、飲み終わったビンはそこの植菜用のプランターに入れるのだと教えてくれた。 それを聞きながら、番台のおかみさんが微笑んでいる。たった一言が体はもちろん、心まで温かくなる。我々愛好会の「あったまるで賞」があれば、最初に贈呈した銭湯だ。 2階はもちろん学生向けの下宿屋だ。番台のおかみさんに聞いたら空き部屋があるという。心に満ちた学生生活を送るならここだろう。 書き忘れたが、この近くは平和温泉、寿温泉があり、川西さん曰くこの付近は城北の「銭湯トライアングル地帯」と言っていた。 |
||
住所 | 入浴料 | サウナ | TV | 営業時間 | 定休日 |
清水町2-14-5 | 300円 | ○ | × | 15:00〜22:30 | 第1、3月曜 |
取材:銭湯愛好会