松山市内国道56号線、今は閉鎖したJT日本たばこ産業の工場の西100mほどの所に「新開温泉」がある。ここは駐車場、コインランドリーも備えている。日本たばこ産業の西を走る南北道路沿いに「新開温泉」の看板があるが、この看板沿いに車では入れない。車で行く場合は西から入らなければならない。 北に向かって入り口があり、このため浴槽には南から光が入り込みとても明るい。 男湯の入り口は東側、「自然に戸がしまります」と書かれた引き戸を開けると、浴槽にたちこめる湯煙が見える。 横に広い脱衣場の真中にはテーブルが一つ、テレビに向かって椅子が三つ、そして最新のマッサージ機、足のふくらはぎを固定するリクライニング式だ。その横には旧式の椅子が直角のマッサージ機があり、新旧勢揃いといったところだ。 浴室にはいると、南から注ぎ込まれた光線と湯煙でよく見えない。奥にはジェットを備えた岩風呂、水風呂、その横にアルミドアのサウナがある。7人が定員だろうか、温度は110度をさしている。縁側の長い腰掛けに座る感じで、椅子の下には炭が置かれている。サウナにテレビはないが、南海放送のラジオ番組が流されている。 「新開温泉」にも常連が集まっている。ちょっと強面の叔父サンが、洗い場で使う腰掛けをサウナの中に持ち込み長い腰掛けの上に置いて汗を出している。 そこに入ってきた常連に「今日は早いな。」と声かけられ、「丁度パチンコもトントンになったし、いろいろあってな。」と返答している。なんのヘンテツもない会話を聞き流して、水風呂に入り一息ついて再度サウナに入ると、さっきの叔父サンも腰掛けで座っている。しばらくサウナ内を流れるラジオ放送を聞きながら、サウナの温度に耐えていると、別の人がサウナに入ってきて、叔父サンに「今日は早いな。」と声掛けた。叔父サンはさっきと同じ返答をして、汗の落ちるのを見ている。 この後にも叔父サンは同じ返答をしていた。 叔父サンにしてみれば、今日はちょっと一時間か二時間早く銭湯に来ただけなのに、他の常連から何か特別のことがあったのではないかと声をかけられる。これが常連の試練なのだろう。 浴室の中は広々していて、ここには電気風呂が浴室のど真ん中にある。それも強弱2種類を選べる。 G会長から湯温が少し低いとの情報を教えてもらったが、電気風呂のことは聞かなかった。電気風呂の得意な人にはお勧めの場所だ。 3ラウンドサウナと水風呂をこなしたあと外に出て、縁台に座って建物を眺めていると、この銭湯には2つの名称があることに気がついた。「新開湯」と「新開温泉」、建物には「新開温泉」と刻まれており、入り口付近の案内、看板には「新開湯」と書かれている。 湯銭300円から想像すると、温泉ではないかもしれないが、ここは温泉から始まった銭湯でその頃は「温泉」の呼称だったのかも知れない。 (ここでは建物に刻まれた刻印「温泉」を使用して紹介させてもらっている。) 湯銭は300円、どこかのスーパー銭湯を思わせる施設、そして裸の付き合いをしている近所の人たちの社交場、「新開温泉」には銭湯が備えるべきもの全てがある。 |
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住所 | 入浴料 | サウナ | TV | 営業時間 | 定休日 |
雄郡1丁目6-16 | 300円 | ○ | × | 14:00〜23:00 | 10、25日 |
取材:銭湯愛好会