自宅のある西東京市から、たつの湯のある練馬区へ自転車で向かった。このあたりは、まだまだ畑・果樹園が多く残っており、場合によっては、幅1m程度の小道にもでくわす。本当にここは東京なのだろうかと錯覚を起こすほどである。 自宅から所要約10分。住宅街に忽然と姿を現す煙突。堂々たる様式美を追求したその建物が目の前に飛び込んでくる。築何十年、いや百年かとも思えるようなその堂々たる面構えは、訪れる者すべてにひれ伏せと言わんばかりの存在感である。屋外には、燃料と思われる木材がうず高く積み上げられている。最近流行のバイオマス燃料である。しかもそれらは、どうやら解体された木造建築物の木くず、あるいは線路の枕木のように思われるので、いかにもリーズナブルな燃料である。 暖簾をくぐり中に入ると下駄箱があり、さらにその中に番台がある。番台は男湯、女湯の脱衣室ばかりでなく、場合によっては浴室内部にまで睨みを利かすことができる位置にある。脱衣室にはコインの要らない鍵のかかるロッカーがあり、(下駄箱もコインは要らないが鍵がかかる。)およそ100〜150人分のキャパシティーである。ドライヤーは1個だけ用意されている。 浴室に入る。浴室の壁には、ドドーンと山が描かれている。「北海道大沼」と記されたその山は、恐らくは北海道・駒ヶ岳である。なぜ東京の銭湯に北海道・駒ヶ岳なのか?理由は不明である。 一方、女湯の壁画は富士山である。別に男湯から女湯の中が見えるわけではない。男湯からでも、この壁画だけは拝むことができるようになっているのである。2つの絵を見比べながら、ゆったりと浴槽につかることができた。 銭湯入口の立派な面構えは木造であるが、内部の浴室は鉄骨造のようである。浴室の突き当たりにはサウナ入口のようなものがあったが、残念ながらそれはサウナではなかった。また、水風呂はないが、気泡風呂はある。 脱衣室には、石鹸、シャンプー、シェービングフォーム、タオル、ジュース、ビールの販売があるが、牛乳の販売はなし。骨董級の体重計、壁掛式古時計があり、浴室の洗面器はあのまぼろしの黄色い「ケロリン」である!浴室の椅子は妙なサスペンションの効いた、板バネのような代物であり、尻の丸みにフィットする。別棟にはコインランドリーもある。 (番台様、突然訪れたのに、取材に応じていただき、誠にありがとうございました。)
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住所 | 入浴料 | サウナ | TV | 営業時間 | 定休日 |
練馬区石神井台6-19-26 | 400円 | × | × | 16:00〜23:00 | 月曜日 |
取材:銭湯愛好会東京支部
取材日:2004年6月26日(土)