(綾歌郡綾南町)


 府中湖の手前(高松から見て)に、名店「田村」がある。
 初めてここを訪れたのは平成5年の春だった。シンプルで無駄のない生粋のさぬきうどん。 メニューはかけと生しょうゆだけ。 代金は当時一玉70円くらいだったように記憶している。

 今回、取材で久々に田村のうどんを食べることになった。取材前から胸の高まりを抑えるのに苦労した。 
 土間に並んで、おばあちゃんからうどんの玉をどんぶりに入れてもらうのを待ち、生しょうゆでいただく・・・・。 何も変わってない。そこには当時の味がそのまま残っていた。 うれしくてうれしくて感動である。 ズズッと一杯目を平らげ、すぐさまおかわりのためもう一度列に並んだ。
 当時と変わったのは、うどんを冷水で締め、せいろに移すおばあちゃんの腰が以前より曲がったのと、代金が一玉100円に値上がりしたことである。
 
 店内はそんなに広くない。土間に入る手前に客席があって、ぐるっと壁沿いにカウンターのテーブルがある。そこには、昭和55年に第五回さぬきうどん品評会で優秀賞を受賞した際の賞状が飾られている。「田村精米製麺所」と書かれてあった。 土間の横にテレビのある小さな部屋があるがここで食べる常連組のお客さんもいる。 さらにその部屋から外に出ると山を見ながらうどんが食べれる(立ち食い)。

 食べ終わったあとのうどん鉢は、土間の中央にあるバケツに入れること。全てセルフサービスである。 支払いは店を出るときに自己申告。 私はおかわりをしたので200円、同行の会員二人は、100円づづ支払って店を出た。

 食べた後も、うどんのいい食感が残る。それが田村のうどんである。


住所 営業時間 定休日
綾南町陶1090-3 9:30〜17:00

 取材: 銭湯愛好会

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