高血圧症

血圧とは

収縮期血圧と拡張期血圧

 、血圧とはどういうものなのでしょうか?よく血圧が上がいくら、下がいくらと言いますが、これはどういうことでしょうか?心臓は高い圧力で全身に絶え間なく血液を送っています。全身から帰ってきた血液が再び心臓から全身に送られるとき、心臓が収縮し、血管に対して強い圧力がかかります。このときの圧力が上の血圧で収縮期血圧(最高または最大血圧)と言います。次に心臓が収縮した後、心臓が広がる(拡張する)ときには、心臓の血液を送り出す圧力は少なくなり、血管の圧力が主になります。これが下の血圧で、拡張期血圧(最低または最小血圧)といいます。

 血圧は心臓の血液を送り出す力(心拍出量あるいは血液量)と血管の血液の通りやすさ(血管抵抗といいます)で決まると言われています。従って、そのときの身体的状況により血圧は絶えず変動します。たとえば、血液のあまりいらない睡眠中は血圧は通常低下するといわれ、日中運動したり、緊張したり、力んだりしたときには血圧は上昇します。また、季節でも血圧は変動し、夏は低く、冬は相対的に高くなると言われています。また加齢によっても上昇し、一般に老齢者では、血管の弾性度の低下のため血圧は上昇してきます。


高血圧とは

 正常の血圧は、

   収縮期血圧(最高血圧)    140oHg未満
   拡張期血圧(最低血圧)     90oHg未満

とされていますが、その中でも、至適血圧正常血圧高値正常血圧とに分類されており、最高血圧が120未満、最低血圧が80未満が至適血圧と言われ、理想的とされています。また、正常血圧の内でも最大血圧が130〜140未満、最小血圧が85〜90未満の人は正常高値血圧と言われ、全く放置しておいてよいというわけではなくなりました。(次のページに説明があります。)
 また高血圧とされる血圧は、近年その基準が大きく変わり、

   収縮期血圧(最高血圧)    140oHg以上
   拡張期血圧(最低血圧)     90oHg以上
   
とされるようになってきました。すなわち、正常でない血圧は程度の差はあれ、すべて高血圧ということになったのです。数年前まで高血圧は最高血圧が160mmHg以上、最低血圧が95mmHg以上とされ、正常と高血圧の間は境界型高血圧といわれてきましたが、近年米国などでは、いろいろな研究から、正常値を越える血圧は心血管系の合併症をおこしやすいという事が解り、高血圧に対する基準が厳しくなったためです。また、その程度により1から3までのステージ別に分け、その程度に応じて対処していこうとする考え方が主流になってきています。


 ところで高血圧はどうしてなるのでしょうか?
 高血圧の原因はほとんどは原因がはっきりしないものが多く、これを本態性高血圧症と呼んでいます。全高血圧症の90%がこれに相当すると考えられています。もちろん遺伝的なものも関与するということがはっきりしています。また、他に身体の異常があって高血圧が発症する事があります。これを二次性高血圧症といいます。この原因で一番多いのは腎臓疾患によるものです。また、内分泌系に異常のある場合やある種の漢方薬が原因の場合もあります。


高血圧はどうしていけないのでしょう
 血圧が高ければ症状が出る場合があります。頭痛、頭重感、肩こり、めまい、のぼせ、吐き気、鼻出血などが出る場合があります。一方、全く症状のない場合も通常よくあります。従って、自覚症状だけでは血圧が高いかどうか判断できません。この様に自覚症状がないからといって放っておいていいのでしょうか?

 実は高血圧を放置しておくと身体の各臓器に様々な障害を引き起こすということが解ってきました。これを高血圧症の合併症といいます。特に心筋梗塞や脳卒中などという生命に関わる病気の原因になるということが解っています。高血圧を治療するのはこれらの合併症を予防するためなのです。
 
高血圧の状態が続くと動脈硬化という血管の変化が進みます。動脈硬化とは、体の各臓器に血液を送る動脈の血管壁が厚く、硬くなる病気で、その結果、血管の内腔が狭くなって血液の通りが悪くなってしまいます。動脈は全身の臓器に分布していますから、全身の臓器に影響が出ます。その中でも特に合併症がおこりやすいのは脳、心臓、腎臓、目などです。

高血圧の合併症
脳血管障害

  脳血管の動脈硬化が進展することにより下に示すような脳の合併症を引き起こします。脳出血や脳梗塞は脳卒中と呼ばれ、近年特に脳梗塞が増加しています。特に、コレステロールが高かったり、糖尿病を合併していると非常におこりやすくなります。急におきる激しい頭痛、嘔吐や片側の手足に力が入らないなどの症状、また、言葉がしゃべりにくい、食べ物がうまく食べられないというような症状が出れば要注意です。

脳出血 脳血管がさけて手足の麻痺や言語障害などの障害が出ることがあります。ひどいものは生命の危険があります
脳梗塞 脳血管が閉塞し、上記のような症状が出ます。軽いものは症状がなく、検査で発見されることがあります
一過性脳虚血発作 一過性に脳の血管がつまりかけて手足の麻痺や言語障害などがでますが短時間で回復します
高血圧性脳症 高血圧のため痙攣、意識障害などがおきる病気
くも膜下出血 脳血管の動脈瘤の破裂でおこりますが,高血圧が引き金になることが多い

脳梗塞のCT写真
右の黒い部分が梗塞
脳出血のCT写真
中央の白い部分が出血
脳血管の動脈瘤
くも膜下出血の主な原因

 脳血管障害は脳出血、くも膜下出血のように場合によっては緊急手術が必要な事があります。かかりつけの医師に見てもらい、必要があれば脳神経外科でCTMRIといった検査を受けて下さい。

心臓

 心臓の合併症で狭心症や心筋梗塞が重要です。これらは虚血性心疾患と呼ばれ、心臓の冠動脈の血流障害によってひきおこされるもので心筋梗塞は場合によっては急死することのある重篤な疾患です。

心肥大 高血圧のために心臓に負担がかかり、心臓の壁が厚くなる病気
狭心症 心臓の冠動脈がつまりかけ、胸痛や胸部圧迫感が出る病気
心筋梗塞 臓の冠動脈がつまり、心筋に障害をおこす重篤な病気
心不全 上のような病気のため、心臓の血液を送る力が弱ってくる病気
心臓の冠動脈(赤い血管)

右図の赤い血管が心臓の冠動脈といわれる血管で、左図はその断面を示しています。心臓の筋肉はこの冠動脈から血液を貰っているので、この血管が左図のように動脈硬化のために内腔が狭くなると、狭心症や心筋梗塞などの病気を起こしてきます。
冠動脈の動脈硬化の進展 病気を起こすメカニズム


 急に胸が痛む、胸が圧迫される、のどが詰まる、左肩が痛む、胸苦しいなどの症状がでれば狭心症が疑われます。これらの症状が1時間以上続き、嘔吐などを伴えば、心筋梗塞も考える必要があります。すぐに内科で心電図血液検査等を行い、心筋梗塞であれば専門の病院に入院して心臓カテーテル検査を受ける必要があります。

         高血圧、年齢と循環器系疾患死亡率
血圧が高いほど(右へ行くほど)、年齢がいくほど(奥へ行く
ほど)死亡率が高い

 長年高血圧を放置しておりますと、心臓に負担がかかり、心臓の壁が厚くなり心肥大をおこしてきます。これをさらに放置しますと、心臓の血液を送る力が弱り、息切れ、めまい、手足のむくみといった心不全の症状が出てきます。普段より定期的に心電図心エコーといった検査を受けておく必要があります。


腎障害
 
 高血圧の状態が続くと腎臓の細動脈、糸球体という組織が傷害され、腎臓の機能が低下し、血尿や蛋白尿が出るようになります。この状態を腎硬化症といいます。初期には微量の蛋白尿や夜間尿(夜中に時々トイレにおきる)といった症状ですが、進行して腎不全となると手足のむくみがひどくなり、だるい、食欲不振、貧血などといった症状が出てきます。
 
 また、腎臓の障害があると、血圧を上げる物質が出てさらに血圧が上昇するという悪循環となります。普段より検尿を定期的に受けて、蛋白尿が出ていないか見てゆく必要があります。

腎硬化症 腎臓の組織が傷害され、蛋白尿、夜間尿などが出現する
腎不全 腎臓の機能が低下し、進行すると血液透析を受ける必要がある

眼底変化

 網膜動脈に動脈硬化をおこし、進行すると網膜出血等により視力障害をおこします 

動脈閉塞症

 動脈硬化から全身の血管が細く、堅くなってきます。一般的によく見られるのは、下肢へ行く動脈が細くなったり、詰まったりしておきる病気で、一定の距離を歩くと悪い方の足が痛くなって歩けなくなるという症状が出現します。また腸へ行く血管が細くなったり詰まったりして腸閉塞や腸炎をおこすことがあります。


次のページへ