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東海村の燃料加工工場での事故に関して友人の新聞記者へのメール.

愛媛新聞の記者さんには,他県の新聞社より,原子力に関するより正確な
知識を持ってもらいたいと思いますので,僭越ながら講義です.
○○新聞の社説に原子力関連のことが書かれていたのを読んだことがありますが,
そのおそまつな内容には,あきれるを通り越して,可哀想なくらいです.
(私も所詮,"素人"ですが,○×大の超えらい先生から一応2個の"優"をもらって
おりますので.)

シーベルト(線量当量)

放射線が物質に与えるエネルギーの単位(吸収線量)をGy(グレイ)といいます.
1kgの物体に1J(ジュール)のエネルギーを与える放射線が1Gyです.

ジュールとはカロリーと同質のもので,1Jが何calだったかは忘れましたが,
calという単位はようやく廃止されるらしいのでほっときましょう.

お気づきのとおり,Gyは強さの単位というよりは量の単位です.
短時間の強い放射線と長時間の弱い放射線とは同等です.
ちなみに
1rad(ラド)は0.01Gyですが,ラドはカロリー同様過去の単位なので使わない
ようにしましょう.

放射線にはα線,β線,γ線,中性子線などの種類があり,物理的に同じ線量(Gy)
であっても生体への影響度は異なることが知られています.

というわけで,吸収線量Gyに放射線の種類に応じた線質係数なるものを掛けて
生体への影響度を考慮した線量が
線量当量Sv(シーベルト)というわけです.
1rem(レム)は0.01Svですが,レムも過去の単位なので使わないようにしましょう.
宇宙からの放射線や土壌中の放射性物質などの影響で,普通に生活していても
外部から年間1mSv(ミリシーベルト)程度,被曝します.
それと体内に採り入れられた物質からも年間0.5mSv程度被曝します.
つまり被曝量は年間計2mSv以下程度です.
胃のバリウム検診1回で3mSv程度の被曝です.
高山では平地の数倍の被曝があり(宇宙放射線),土壌によってもかなり違います.
ちなみに温泉地道後の土壌は伊方町より5割多い.関東より花崗岩質の関西のほう
が数割多い,ブラジルのガラパリという町では年間10mSvを越える,など.

レントゲン技士や原子力発電所,研究所などの職業人の年間被曝量は50mSVと
決められています.
このような弱い放射線被曝で,どの程度以上が健康に有害かというのは
はっきりいってあまりわかっていません.
なぜわからないかというと,タバコやディーゼル排ガスの発ガン性のほうが
何百倍も大きくて,それらの影響を除去して純粋に放射線の発ガン性を
推定することが困難だからです.
高圧線や携帯電話の電磁波の影響がはっきりしないのも同じ理由です.

逆に少量の放射線は免疫力を高める(ホルミシス効果)といわれています.
原子力発電所周辺での発電所からの被曝は0.001mSv以下ですので,自然界の
放射線にくらべると無視できるものです.

全身に一回1Sv程度が致死量だと言われています.ただ個人差があり,また
根拠もそれほど十分ではありません.致死量がわかるためには
まずどれだけ被曝したのかがはっきりしなければなりません.
広島,長崎,チェルノブイリなどの混乱した現場でそれを正確に知るのが
困難であったことは想像できます.
体の一部への被曝ならもっと強くても大丈夫だといわれ,癌の治療には
数Svの強さを当てるそうです.
朝日新聞には今回の事故で作業員の方が17Sv被曝したと書いてありましたから,
これは生命に極めて危険な量といえるでしょう.