私の勉強法
まったくの素人の私が,勉強を始めてから2ヶ月半後のはじめての受験で,なんとか合格することができました.これから気象予報士をめざそうという人や,何度も受験しているけどなかなかうまくいかないという人に,少しでも参考になることがあればと思い,私なりの勉強方法を書いてみたいと思います.
独学.
四国に住んでいる私ですから, 大都市で開かれている受験講習会などのスクーリングとはまったく無縁の存在でした. そんなものが開かれていると知った事自体, ずいぶん後のことでしたし.
余談ですが, 四国って全国的に見て, 田舎のイメージが一番強い地方なのでしょうか. "東京ラブストーリー" のカンチが四国出身だったあたりから,どうもそんなイメージが定着してきたように思えてなりません. 我々から見れば,寒い地方に田舎のイメージを感じるのですが,あちらは新幹線も走ってるし, 産業などの各種統計資料を見ても,四国は明らかに分が悪い. . . .余談はさておき
仮に私が大都市に住んでいたとしても, 講習会などを利用することはなかったでしょう. その理由ですが,
いくらわかりやすく教えてもらって, その時はわかったような気になっても, やはり自分で疑問に思って考えて, 理解するために頭の中で組み立て直したことでなければ, なかなか身に付かないと思うから.
それと,なんといっても一番の理由は値段が高いから. (仮にそれほど学習効果があがらないとしても, とても安ければ参加するでしょう. その道のプロからいろいろなエピソードや裏話を聞けることは, とても興味深く, 貴重なことですから. . . .)
通信教育があるということは私も前から知っていました. しかし利用することは考えませんでした.
答えを書いて添削してもらうというシステムは, どうも私にはなじめないものでした.
自分が書いた回答が正解かそうでないかもわからない状態では試験合格は望めない. そんな状態で丁寧に添削してもらっても身には付かない. それよりも自分で答えを調べて考えるべき.
自分の答えを人に直してもらうよりも, 人の答えを直せる力を付けたい. 人に理解してもらうためにはどう説明すればいいのか, を考えたい.
テキストを利用できるという点では通信教育はある程度役に立つのかもしれませんが, そのテキストもどんな内容なのか事前に選ぶことができない.
料金の大部分はテキスト代よりも,通信添削代のほうなので, テキストだけを利用するのは割高. それよりは何冊か自分の好きな本を買うほうがよさそう.
私が選んだ勉強法は,必然的に独学でした.
もしまわりに数人の仲間がいる人ならば, 自分で調べたことをお互いに教えあう(お互いに習いあうではなくて),という勉強方法が良いのではないでしょうか.
本,ノート.
本とノートを使って勉強する時に, 私が常に心がけていることがあります. それは多くの人のやり方とはおそらく正反対です.
1.本に色を塗ったり線を引いたりしない.
2.ノートに箇条書きに要点をまとめない.
え〜っ,なんで?,と思うでしょう. 理由はこうです.
一度大事なところに線を引いてしまうと, その本を何度も読み返すときに, 線を引いてあるところだけを重点的に読んでしまい, 知らず知らずにその語句を導びく周りの文章を軽視してしまうようになると思います.
もし, 線を引いたところを隠されても, 周りの語句を見ただけで,その語句を穴埋めできるように丸暗記する, という思考方法になってしまいがちです.
私は,むしろ重要語句が与えられたとき,その語句を導くための周りの文章を書くことができる, ということに重点を置きました. ですからもし線を引くとしたら,重要語句を除いた残りの部分です. そんなことしたら見にくくていけません.
たとえば,
発達中の温帯低気圧では,トラフ軸が上空ほど西に傾く
う〜ん. 大事ですねぇ〜. 思わず線を引きたくなります. でも待ってください. 本当に大事なのは なぜ西に傾くか という理由のほうです.
低気圧の東側に暖気移入,西側に寒気移入があるから. たしかにそうですね. これも大事だから線を引きたくなります. でもなぜ前面に暖気で後面に寒気ならトラフ軸が西に傾くのですか?.
それは,気体の状態方程式 Pα=RT を使って説明すると・・・・・
なぜそうなる?,なぜ?, と,どんどん掘り下げていって,最終的に状態方程式や運動量保存,などの物理学の基本法則にたどり着く, 私はそういう理解のしかたにこだわりました.
ノートを作るにしても同じです.平易な文章で,さまざまな気象現象を物理学の基本法則から導くように書いていけば実力になると思いますが, (つまり, 一般気象学に相当する内容を自分で書いてみること) 要点だけを箇条書きにしたのでは, 暗記に走ってしまい,本質を見落としてしまって逆効果になりかねないと思います.
(字を書くことがなにより嫌いな私のノートは,数ページになぶり書きの筆算の跡が残されたのみでした. これなら広告の裏でもよかった. . . )
めざすは気象学者
気象学者は大げさですが, 気象予報士になるための天気予報の勉強というよりは, 応用物理学の一分野である気象学の修得にこだわりました.
気象現象が,物理法則に支配された大気の力学的挙動によってもたらされ, 今日の気象予報が数値予報にその基礎をおいている以上, 数式だらけの気象学を避けて通ることは不可能だと思います. 気象予報は,あくまで気象学の応用なのですから, 気象予報士を目指す以上は, その基礎となる気象学を少しでも深く理解したいものです.
学科の勉強法
勉強をはじめてから試験までの時間が2ヵ月半しかありませんでしたので, 本来なら理論的なことを先に理解すべきなのですが, とにかく過去問を解くことからはじめました. しかし私は気象に関して全くの素人でしたので, 初めの1ヵ月はただひたすら過去問を暗記して, その問題に関する記述を一般気象学の中からやみくもに探して読んでいきました.
ちなみに, どれぐらい素人だったかというと.
温位,相当温位,エマグラム,リッジ,トラフ,渦度,頃圧不安定,条件付き不安定, , , すべてはじめて聞く言葉でした.
高層天気図は存在は知ってましたが見たことありませんでしたし, 物理学でも, 流体力学や熱力学は, 今までの自分の専門とは関係ない苦手な分野でした.
この最初の1ヵ月間で, 学科の過去問はほとんど全問に目を通しました. ただわけもわからずやみくもに突き進むという無味乾燥な実につらい勉強でしたが, 気象学の勉強を始めるための足がかりをつくるという意味では, 時間の割に効果の大きい方法だったと思います.
次の1ヵ月は一般気象学や気象力学通論などを読み込んで, さまざまな気象現象に物理学的意味を考えていくことに重点を置きました. 試験にはほとんど出題されない数式も, その意味を理解したり, 導出過程を知るよう努めました. その後, 過去問をもう一度解きなおして理解を深めました. (時期としては12月中旬から1月中旬です)
ただ, そのやりかたでは, 一般知識の大半や専門知識の一部に出題される, 気象現象に関する問題には十分対応できるのですが, 法規や気象観測のやり方, 数値予報の手法やガイダンスなどはどうしても過去問の出題内容以上のことは知ることができず, 特に専門知識に最後まで苦手意識が残りました.
試験本番の自己採点も, 一般知識は15問正解でしたが, 専門知識は11問正解に留まり, 薄氷を踏む合格となりました.
専門知識に出題される, 予報現場の実際的な問題に関しては, ただ過去問を解いて覚えた私のやり方は, あまりお薦めできる方法とは言えないようです.
実技の勉強法
初めての受験で, 試験までの時間も少なかったために, とにかく学科だけでも合格しよう, ということで, 実技にはほとんど時間を割くことができませんでした.
過去問を解きはじめたのも1月に入ってからで, 大半の勉強は試験前2週間にしただけです. その内容はといえば, 平成8年第1回から平成11年第1回までの14問の問題を解いただけ, しかも書くことが嫌いな私は, 実際に答案を書いてみたことは一度もありませんでした. 問題を読んで,図表を見て, "フムフム, こういうことを書けばよいのだな" , と頭の中でざっと組み立てて, すぐに解答を見てしまいました. もちろん, 色鉛筆やマーカーペンは使ったことがありません. (どう使ったらいいのかも分かりません)
問題を解き初めて最初の7〜8問は, 慣れないために, 正解からは程遠い答えしか思いつかなかったのですが,徐々に出題形式に慣れてきて, 模範解答に近い解答がわかるようになってきました.
学科の勉強で, とにかく現象の物理的意味にこだわって定性的に説明できるように努めたことと, 出題には関係のない数式もその意味を理解しようとしていたことが, 実技に活かされたように思います.
字数を守って,適切な文章を書く, ということはついに本番まで試されることはありませんでしたが, 本番では, 出題に対して "これとこれについて述べなければ" ,と思って実際に書いてみると自然と枠に収まりました.
結局, 私が見たことがある高層天気図は, 過去問と試験本番の図のみ. 普段から予報を練習したわけでもなく, 2週間ほど過去問をチョロっと解いただけで, 実技に合格してしまいました. まさにペーパー予報士です.
ではなぜ合格できたか, それは気象現象の物理的意味にこだわったため, つまり気象予報の勉強ではなく, 気象学の勉強をしていたからだと思います. 出題者もそういう理解を受験生に求めているのでしょう. 試験自体は, 一見,気象学の複雑な数式たちとは無縁に見えますが, 実際の気象予報は, それらの理論に沿って行われているのだということを, 出題者は言いたいのだと思います.
実技試験で苦労されている方がいましたら, もう一度,一般気象学と気象力学通論に立ち返ってみることをお薦めします.
私が目指した理解の仕方を遥かに上回るスケールで実践されて, 本まで書かれた方のホームページを最近見つけました.
http://www.ny.airnet.ne.jp/satoh/
参考にされてみては?.
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