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ロバート・パーカーJr.「ボルドー第4版」より
ブラーヌ=カントナックとキルヴァンの南側にあたるカントナックのコミューンの中心に位置する。どうしようもないほどの品質の不安定なシャトーで、残念ながらもはや三級には値しない。ここと近隣のシャトー・プージェは、1930年代前半から有名なギルメ一族が所有している。ボイド=カントナックに正規なシャトーがないので、ワインはシャトー・プージェに隣接する倉庫で醸造、貯蔵される。こうしたワインがなぜよくならないのか、かねてから不思議である。ボイド=カントナックの良好なヴィンテージについても、期待にそぐわないものがいくつかある。選別をもっと厳しくして、より多くのワインをセカンド・ラベルにまわし、新樽の割合を高くすれば、おそらくセラー内での品質は安定するだろう。瓶詰め前には悪くないのに、その後のテイスティングでは、粗削りで、やつれたワインになっていることがしばしばである。したがって、このワインは私の購買リストに載ることはない。また、ボルドーをよく知らない人は、カントナックという名前が一部共通するものの、もっと有名でしかも良質なワインをつくっているブラーヌ=カントナック、カントナック・ブラウンと混同することがよくあるのではないかと私は思っている。
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