|
|
ロバート・パーカーJr.「ボルドー第4版」より
デュクリュ=ボーカイユーは、木々に囲まれた、ジロンド河がよく見える、絵葉書のように美しい風景の中にある。所有しているのはボリー家で、今は亡きジャン=ユジェンヌ・ボリーはメドックでは数少ない、この地に在住する当主であり、この地方の偉大な名士でもあった。過去30年間、彼はデュクリュ=ボーカイユーの品質を大いに高めたために、1961年、1966年、1970年、1973年、1976年、1978年、1981年、1982年、1985年、1995年、1996年、2000年のヴィンテージはメドックの一級シャトーにも匹敵する出来栄えであった。そのワインへの情熱、高品質へのあくなき追求、注目すべき謙虚さと、ボルドーの大使として頻繁に海外を訪問したことから、彼はこの地域で最も敬愛されるワイン関係者の一人だったのである。数年前に亡くなった後は、グラン=ピュイ=ラコストに住む息子のグザヴィエがデュクリュを全面的に管理していたが、2003年に兄のブリュノに引き継がれた。
デュクリュ=ボーカイユーのワインの本質はエレガントさと均整、バランス、気品、格、そして独自性である。これはサン=ジュリアンで最も逞しい、最も豊かな、最もフルーティなワインになることはない。もともと頑固なまでに時間をかけて熟成するワインである。デュクリュ=ボーカイユーの最高のヴィンテージのほとんどで、すばらしく調和のとれた果実味と力強さが見られるようになるまでには最低10年はかかるのが通例である。多くの点で偉大なワインなのだが、細部へのこまやかな配慮、最高のブドウ、最高の樽だけが瓶詰めを許される厳しい選別、そして保守的なブドウ栽培方法といったことのすべてが、このワインの成功に大きく寄与している。
|