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ロバート・パーカーJr.「ボルドー第4版」より
グロリアは常に、なぜ1855年のメドックの格付けが時代遅れであるかを示す一例として用いられてきた。当初の格付けに含まれていないグロリアが過去25年間の2000年、1996年、1995年、1994年、1989年、1986年、1985年、1982年、1976年、1975年、1971年、1970年、1966年、1961年のようなヴィンテージに(近隣の格付けシャトーから購入した畑から)つくったワインは、確かに多くの格付けシャトーで産出されたものと同じくらい良好だったのだ。抜け目のない商人や消費者たちはずっと前からその品質を知っていたため、このワインはアメリカや諸外国で幅広く販売されてきた。
グロリアの所有者であった故アンリ・マルタンは、1991年2月に亡くなったが、メドックの伝説的な人物の1人だった。彼のワインが大衆に訴えることを目的につくられていたのは間違いない。まろやかな、気前のよい、非常にブドウの完熟感のあるワインで、すばらしい西洋杉のような、スパイシーな、大げさと言ってもよいほどのブーケがあったのだ。こうしたワインづくりは、彼の義理の息子であるジャン=ルイ・トリオーの管理下でもいささかも変化しなかったようだ。ここのワインは若いうちでも驚くほどっ出来がよいが、12〜15年は熟成させられる。1960年代から1970年代前半のスタイルは1970年代半ばに変化し、1978〜1993年のヴィンテージではまぎれもなく、それ以前に比べて軽く、より明白にフルーティになり、タンニンが少なくなったようだった。ただし、2000年、1996年、1995年のものは明らかにより筋骨たくましい、より豊かなワインとなっているので、1978年以前のスタイルへの回帰を暗示しているのかもしれない。いずれのスタイルにしても、グロリアはすばらしく生き生きとした、おいしいワインで、実際の品質よりはるかに安い価格で販売され続けている。ただし、警戒すること。1990年代後半のいくつかのヴィンテージには、憂慮するほど多くの「コルクのせいで変質している」ボトルがあった。 |