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ロバート・パーカーJr.「ボルドー第3版」より
このシャトーはボルドーのワイン街道(県道2号線)のすぐ西に位置していて、ポイヤックの眠ったような商業の町に南から近づくとたどり着く。町を見下ろすジロンド河のそばの小さな尾根の上にあって、ここは「バージュの丘」という、なるほどと思う名がついている。贅沢なホテルとレストランのシャトー、「コルディアン=バージュ」がランシュ=バージュの真正面に陣取る。つい最近まで、この建物について言われる一番好意的な言葉が「実用本位」というものだった。しかし、ランシュ=バージュは大規模な化粧直しと改修で、見違えるようになった。シャトーの正面が一新され、大きなステンレス・タンクを展示した新しい貯蔵庫、最新設備を誇るテイスティング・ルームを備える。 |
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(中略) ブドウ畑自体は、北にムートン=ロートシルトとラフィット=ロートシルト、南にラトゥールとピション=ロングヴィル=コンテス・ドゥ・ラランド、ピション=ロングヴィル・バロンを望む場所にある。ランシュ=バージュでは大がかりな近代化と改築はあったものの、ワンつくりの基本的考え方は実に伝統的だ。1980年以来、前にも言ったように、ワイン醸造は新しいステンレス・タンクの中で行われている。その後、ワインは小さなフレンチ・オークのたるに直接入れられる。新樽の割合は1982年のヴィンテージの25%から最近のヴィンテージの60%にまで増加した。ランシュ=バージュは平均して12〜15ヶ月間このオーク樽に入れられ、卵白で清澄処理され、瓶詰めに先立って軽く濾過処理される。現在畑にはいっぱいにブドウが植えられ、生産は1970年代の平均2万〜2万5000ケースから、豊作の年には3万5000ケースにまで上昇した。その上、収穫の20%から30%はランシュ=バージュのセカンド・ワイン、オー=バージュ・アヴルーにまわされる。
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