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ロバート・パーカーJr.「ボルドー第4版」より
コート・サン=テミリオンの1つ、マグドレーヌの畑は、ドルドーニュ渓谷を見下ろす美しい石灰岩質の丘陵にある。1960年代の初めから今日まで最上のサン=テミリオンの1つであり、1952年以来、名高いリブヌルの企業、ジャン=ピエール・ムエックス社が経営にあたっている。マグドレーヌは、サン=テミリオンの石灰岩質の丘陵に位置する著名なシャトーの中ではメルロの比率が最も高い(90%)。
このシャトーが抜群の可能性を秘めていると見る専門家は多いが、1970年代後半と1980年代の大半、マグドレーヌの品質は優良ではあるものの、興味をかきたてられるような出来ではなかった。だが、1989年以来、果実味と肉付づきと複雑さの層が増して、印象的な質のワインができるようになった。
いずれにせよ、マグドレーヌは依然として非常に個性的なサン=テミリオンである。その主な理由はメルロの比率の高さだ。と書くと、このワインはやわらかく、肉づきがよく、外向的だろうと考えられがちだが、そうではない。比較的長い熟成期間と収穫時期の早さ、低い比率まがらも果梗を使用していることなどから、マグドレーヌは極端にタンニンの強い、熟成の遅いワインになっている。ワインが持ち味を現してくるまでに、瓶詰め後、普通5〜7年かかる。
生産量が少なく、歴史的に評価が高い上に、経営者がムエックス社であるということで、昔からマグドレーヌは一貫して高価なワインであり、その値段はメドックのトップクラスの二級シャトーのものと変わらない。 |