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ロバート・パーカーJr.「ボルドー第4版」より
小塔のある印象的なパルメのシャトーは、小さなイッサン村の真ん中にあり、ボルドーのワイン街道(県道2号線)のすぐ脇に堂々とたたずんでいる。立ち寄って写真におさめる価値のあるところだが、ワイン愛好家にとってそれ以上に大切なのは、このシャトーがボルドーの最も偉大なワインの1つを生み出していることである。
シャトーの名声はウェリントン将軍に仕えたイギリス将官、チャールズ・パーマーに由来している。彼は1814年、自軍を率いてボルドーにやってきた。当時はシャトー・ド・ガスクと呼ばれていたこのシャトーを購入し、土地の獲得やブドウの栽培という壮大な計画に乗り出した。それから20年も経ないうちに、ここは「シャトー・パルメ」と呼ばれるようになった。残念ながら、このシャトーの設立に心血を注いだチャールズ・パーマーは破産して財産を失った。亡くなる年の1836年には銀行に没収されて、シャトー・パルメを追われたのである。1939年以来、このシャトーは故ピーター・A・シシュルの家族、マーレ=ベス家とその他4人からなるシンジケートが所有している。その中でいちばん有名な人物は、パルメの日々の営みを管理するベルトラン・プティエである。
パルメのワインにはどの一級シャトーにも劣らない深遠さがある。2001年、2000年、1999年、1998年、1996年、1995年、1989年、1983年、1975年、1970年、1967年、1966年、1961年のヴィンテージでは、それらの多くをしのぐ場合さえある。パルメは公式には三級シャトーだが、ワインは一級と二級シャトーの間の価格で売られており、それは、ボルドーの商人や海外の輸入業者、世界中の消費者がこのワインに高い敬意を払っている証拠である。 |