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ロバート・パーカーJr.「ボルドー第4版」より
サン=テミリオンの町とブドウ畑を見下ろす、眺望がすばらしいこの美しいシャトーは、コート・ド・パヴィに面する斜面に位置している。ここの畑には非常に古いブドウ樹が数多くある。1980年代半ば、ミシェル・ロランがエノロジストとして招され、クリスティーヌ・ヴァレットがより強い指揮権を手にしたときから、ヴィンテージの品質は飛躍的に向上した。マセレーションはステンレスの発酵槽で、期間を延長して行われるようになった。熟成は70%の新樽で、少なくとも12〜24ヶ月間行う。清澄処理は行うが、濾過処理はめったに行わない。柔軟であること、そして柔軟性に欠けるルールを避けることが、ここのワインづくりがうまくいっている理由である。
また、セカンド・ワインの導入により、劣った発酵槽のワインがそちらに回され、結果としてトロロン=モンドのラベルで市場に出荷されるワインの質はさらに高められていることを記しておくべきだろう。
大半はもう亡くなってしまったが、サン=テミリオンとポムロールには、名高い、伝説的でさえある女性経営者たちがいた。シャトー・カノンのフルニエ夫人、ル・ゲイとラフルールのロビン姉妹、レヴァンジルのデュカス夫人、そしてペトリュスのルーバ夫人などである。そして、このアペラシオンにはクリスティーヌ・ヴァレットがいる。彼女の品質へのこだわりは、トロロン・モンドの偉大なワインに、はっきりと表れている。 |