シャトー・ディケム(イケム) (ボルドー:ソーテルヌ地区 特別第1級) |
Chateau d'Yquem | http://www.chateau-yquem.fr/ |
ディケムは信じられないような熟成の可能性を持っている。イケムのワインはあまりにリッチで、ふくよかで甘いために、その多くはいつも10回目の誕生日を迎える前に飲まれてしまう。しかし、イケムが最高の飲み頃になるにはほとんどの場合15年から20年の年月が必要であり、偉大なヴィンテージは、50年あるいは75年以上以上経っても、新鮮で退廃的な芳醇さを備え続けているだろう。私がかつて飲んだことのある最も偉大なイケムは1921年ものだった。驚くほど新鮮で生き生きとしており、その贅沢さと豊かさは決して忘れることはないだろう。 こうした品質への情熱的なこだわりは、何も畑に限ったことではない。ワインは新樽の中で3年以上かけて熟成され、全収穫量の20%が蒸発により失われる。リュル・サリュース伯爵が瓶詰めできると見なしたワインでも、最良の樽からだけ厳しく選別される。1975年、1976年、1980年といった秀逸な年には、樽の20%が排除された。1979年のような困難な年には、60%のワインがはずされた。1978年のような手に負えないヴィンテージでは、85%のワインがイケムとして売るのにふさわしくないと判断された。私の知る限り、これほど無情な選別過程をとり入れているシャトーはほかにない。ディケムでは、芳醇さが少しでも失われることを恐れて、決して濾過処理を行わない。 ディケムはまた「Y」と呼ばれる辛口のワインをつくっている。これは特色のあるワインであり、ディケムらしいブーケを持ちながら、樽香が強く、味は辛口で、通常は非常にフルボディ際立ってアルコール度数が高い。力強いワインで、私の舌にとっては、フォアグラのようなコクのある食べ物と一緒に出されるのが最高である。ディケムはほかの有名なボルドー・ワインと違って、プリムール、つまり先物で売られることはない。このワインは、通常はそのヴィンテージの4年後に、極めて高い価格で出荷されるが、費やされた労力、リスク、そして厳格な選別過程を考えれば、最高の値札に値する数少ない高級価格ワインのひとつである。 〜一般的な評価〜 ディケムがボルドーに2つとない偉大なワインであることは、説得力のある真実だと主張できる。 平均年間生産量:10万本 畑 面積:125ha(生産中の畑は103ha)、平均樹齢:30年、密植度:6500本、平均産出量:8hl/ha 育て方:発酵と42ヶ月間の熟成はオークの新樽で行う。清澄も濾過も行う。 ブレンド比率:セミヨン80%、ソーヴィニョン・ブラン20% 注記:このシャトーはイグレック(YGREC)と呼ばれる辛口白ワインも生産している。つくられたヴィンテージは以下の通り:2000年、1996年、1994年、1988年、1985年、1980年、1979年、1978年、1977年、1973年、1972年、1971年、1969年、1968年、1966年、1965年、1964年、1962年、1960年、1959年。 ディケムが生産されなかったのは1992年、1974年、1972年、1964年、1952年、1951年、1930年、1915年、1910年。
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