
古くて暗い生家から出てきた引札(ヒキフダ)は、ほこりまみれのガラクタにまじって無造作におかれていた。だが、虫食いなどの傷みは激しいものの凛としてその存在をアピ−ルしていた。いや、私にそう見えただけかも知れない。
引札には、あて字が多く使われており、意味がわからず苦労した。とんちを働かせ、知人の協力も得て、解読、理解したものも多い。苦労の末、意味がわかるとうれしいもので、その一枚の引札は勿論、引札そのものへの思い入れも強くなっていく。なお、本文には引札の中で使われた文字を尊重した。従って、意味が通じなかったり、少々おかしなものもあるが、ご了承いただきたい。
当コレクションは、明治三十年代のものが大半を占めており、琴平、丸亀の当時の生き生きとした街並みの発展がうかがえると思う。還暦を迎えるにあたり、素人の門外漢の手探り仕事として恥じをも顧みず、先祖の供養にもなり、資料の散逸を防ぐためにもコレクションの中で楽しく興味深い引札を中心に公開することにした。よって、間違いや整理の仕方に問題がある点も多いと思われる。今後の指針にしたいので、どしどし御批判を仰ぎたい。
引札に関心を寄せ、引札を愛する方々に広く見ていただければ、感慨深く、本当に嬉しい。感謝の気持ちで一杯である。