室戸岬のシオギクの変異種

11月下旬から12月上旬にかけて室戸岬周辺のシオギクが満開になります。おもに岩場に咲くアゼトウナとならんで晩秋から初冬にかけて室岬を彩ります。アゼトウナの明るい黄色に対して濃い黄色がまたなんともいえません。
 
 室戸岬を中心に、西は高知県物部川、東は徳島県蒲生田岬までの海岸の崖などに生える多年草。頭花は黄色の筒状花だけからなり・・・−山渓ハンディ図鑑から抜粋。物部川以西ではシオギクがなく、シオギクが生える環境にはノジギクが咲きほこります。高知県西部はノジギク・東部はシオギクと、棲み分けの好例でした。また室戸岬のシオギク群落は見事なものです。
99/12/08追加  山渓の「蒲生田岬」は誤りのようです。また牧野植物図鑑にも舌状花を持つ図版が記載されていますかし「筒状花だけからなり」と言い切るのも・・徳島県立博物館小川先生より
*頭花は舌状花を欠くか、あっても小さく、黄色。しばしばキクと交雑したものがある(山中二男 土佐の野草)。無駄口のない山中つぎお先生らしい説明でした。
99/12/09追加 シオギクの自生地は東端は徳島県阿南市伊島、西端は高知県香我美町月見山。ノジギクの東端は月見山より東の夜須町仏岬で数Kmの間分布が重なり、この区間では雑種形成が進んでいる−−田淵武樹 四国東南部地域におけるシオギクの分布について 1995高知県の植物 第12号より抜粋引用 

室戸岬の舌状花を持つシオギクはノジギクを移植栽培したためにおこった人為的な現象のようです。

 ところがゆっくり歩いて見ると何カ所かで白の舌状花をもつシオギクの群落があります。単なるバリエーションというには多すぎますから交雑種とおもわれます。今年舌状花を出した株は来年以降も舌状花を咲かせることが予想されます。現にシオギクの「筒状花だけの頭花」というシオギク固有の形質を捨てた個体がかなり見られることから、今後は舌状花の形質が浸透して拡がることが予想されます。

 室戸のシオギクは将来は白い舌状花をもつ個体群になりさがる?おそれが大きい。まだ99年だけの観察ですが、室戸岬の海岸に震源地らしいノジギクと思われる群落があり、また園芸種の「キク」も国道沿いで見られました。

 現在舌状花を持つシオギクは海岸部では約1Kmに集中しています。固有の形質を野生の状態で保存するには、この1km内のシオギクをすべて撤去し純系のシオギクを栽培・移植する作業を何年か続ける必要がある。
 国道沿いのシオギクは半分近く舌状花を出しています。こちらは全撤去と思う。

 99/12/08 追加
 地元のかたたちは憶えておられないようですが、10年ほど前にシオギクの雑種が話題となって新聞にも掲載され、雑種の撤去作業が行われたようです。
 高知女子大の堀内先生に教えていただいた室戸市椎名地区では、栽培種との交雑らしい黄色の舌状花をもつ群落がありました。写真は3ページ目に掲載しています。

 *室戸市椎名地区では雑種の分布は集落内にとどまっていて、集落からはずれた国道沿いではデフォルトのシオギクばかりでした。拡がる気配はないように思えます。交雑の親のキクが少ないせいかもしれません。
 *室戸岬では白い舌状花を持つのに対し(ノジギク親)、椎名では黄色の舌状花(八重に見えるものもある)がある(栽培種親)ことから、シオギクは交雑種が極めて容易にできやすいようです。
 *室戸市元地区では海岸に大きなシオギク群落があり、海岸では交雑の様子は見られないが、群落に隣接してバイパス工事が始まっている。人家の近くと国道沿いでは交雑種が見られた。
 *室戸市高岡漁港東網干し場脇のコンクリート堰堤に大きな群落がある。交雑の様子はない。
シオギク群落 甘い香りがただよう
観光の目玉のひとつです
黄色の筒状花だけで舌状花がないのが特徴 地味かもしれないがすごくきれいです
STEP1 舌状花が少し混じる STEP2 舌状花が大きくなる STEP3 舌状花のキク。
でもたぶんシオギクだろう。
STEP3の群落 DEFAULTとSTEP3の混在 おなじ地域にあった群落。ノジギクの系統に見える。かなり大きな群落もある
おまけ

オオタニワタリ
ではないですか。道ばたに一株だけ咲き(?)ほこる。毎日たくさんのひとに見られながらすまして鎮座。近所の地元の人に聞いてみたけれど、植えられたものか自生なのか覚えがないそうです。残念。それにしてもこれだけ人通りの多い場所で・・・・。
絶滅危惧種ですから見つけても掘るな。花屋さんにいけば温室栽培種があると思うのでそちらへどうぞ。−−沖縄では食用らしい(^^;;。
 そういえば室戸の谷沿いの斜面にクサマルハチの自生地もあったっけ。

シオギク Vol2へ

TopPage