歯周病のはなし
毎年この季節が来ると、クリニックでは歯周病の掲示物が登場するので、皆さんは糖尿病と歯周病の関係をよくご存じだと思います。
糖尿病があると歯周病になりやすく、ひどくなると歯が抜け落ちる可能性がありますし、歯周病があると糖尿病が悪化し、血糖値がなかなか下がりません。ですからクリニックのスタッフは「歯周病のチェックや治療のために歯医者さんに行きましょう!」と声掛けしているのです(^^♪
では歯周病になった時、歯医者さんではどんなことをしているのでしょう?
① 口腔内環境を整えることとばい菌除去
ばい菌は、唾液に流されないようにザラザラしたところ(歯石のたまったところ)やデコボコしたところ(銀歯やプラスチックの詰め物)にくっつきます。
歯石はばい菌が古くなって化石化したものです。歯医者さんに行くとこの歯石を取られますが、これは歯石を取ることが目的なのではなくて、歯石にばい菌が付着しないようにしているのです。
また銀歯やプラスチックの詰め物などと歯の間に段差があると、そこにばい菌が隠れる絶好の場所になります。そのため、この段差をなだらかにする処置を行います。
さらに歯と歯茎の間の溝は、ばい菌が非常にたまりやすい場所です。歯茎の溝を歯周ポケットといいますね。この溝が深いほどばい菌が隠れやすい口腔環境と言えます。
歯医者さんでは「歯肉縁下のブライドメント」と言って、歯周ポケットの掃除をするのですが、これが歯周病治療のメインと言っても過言ではありません。これは手探りで行うため多少の痛みが伴います。しかしこの治療を乗り越えると、口の中はとてもスッキリします。
ばい菌が付きにくい環境作りがとても大事なのですね。
② 噛む力の調整
歯周病が進むと歯を支える骨が溶けて減ってしまいます。そうすると1本の歯では噛む力に耐えられなくなるので、補強していく必要があります。
具体的には、入れ歯やインプラント、ブリッジなどです。
ここのポイントは、「いかに残りの歯に負担をかけずに設計していくか」というところにあります。この治療には、糖尿病の程度などの体調以外に、保険適用外で費用が掛かる場合もあり、相談の上での治療となります。
大切な歯を守るために
歯周病にならない、なっても進行させないことが重要です!
① 正しい歯磨きを
歯医者さんでは歯周病であるかどうか、虫歯があるかどうかなど検査して、同時に正しい歯磨き方法についても教えてくれます。
この正しい歯磨きは重要で、これができないと歯周ポケットの中をきれいにすることが難しくなってきます。上手に磨けていないと、せっかくきれいにしてもすぐにばい菌が増えてしまうからです。
② 定期通院を
歯周病治療が完了したら歯医者さんに行かなくてもよいかというと、そうではありません。
口の中にはたくさんの常在菌がいます。その中で歯周病菌という悪玉菌の割合が多くなると、歯周病になるわけです。歯周病はある時期を超えると加速度的に進行します。ですから定期的にメンテナンスする必要があるのです。
メンテナンスでは、歯ブラシの当たっていない磨き残しのところもきれいにしてくれます。
通院の頻度は3か月に1回が基本ですが、歯磨きの上手な方は4~6か月に1回くらいが目安です。
③ いつも口の中をきれいにしておく
食事をしたらきれいに磨く。これはきっと皆さんできていると思います。では食事と食事の間に間食を取らない、というのはどうでしょう。とくに砂糖の入った食べ物や飲み物は口腔内を酸化させ、環境を悪くするばかりでなく、血糖値も上げてしまいます。できるだけ取らないに越したことはありません。
歯茎から血が出る、口の中がねばねばする、口が臭うのは歯周病のサインです。
大切な歯を守り、いつまでも自分の歯で美味しく食事ができるように、定期検査と早めの治療に心がけましょう。
2018.6.4.(看護師G )