髪の毛は赤く、子どものような出で立ち。
生命力にあふれ、飛び跳ねるように歩く。
海の向こう、ヤンバルの森の奥深くガジュマルの樹に宿る、精霊キジムナー。
旅行先の沖縄で、現地に咲くハイビスカスのように明るいバスガイドさん、いくちゃんに教えてもらいました。
精霊だったり妖怪だったり、この世のものではない存在のキジムナー。妖怪というと恐ろしいイメージですが、島人にとってどちらかといえば座敷わらしのような幸運の妖怪なのだそうです。漁師さんの船に乗ると驚くほど大漁になったり、農作業を手伝って豊作になったり、その家のガジュマルの樹に宿ると裕福になるとか。
そんなラッキーな象徴なら会ってみたいなぁと思いましたが、残念ながら旅行中お目にかかることもなく香川へ戻ってきました。帰って来た次の日、子どもが学校から持ち帰った案内の芸術鑑賞会のタイトルが「キジムナーの約束」。これは運命的!と思いその舞台を観に行きました。
このお話には原作となる同名の小説があります。
沖縄とは切っても切れない戦争の記憶、傷ついた少年と関わり心に希望を抱かせるまでのお話の中で、キジムナーは人間のすぐ側でこっそり人と交わりながら守ってくれているのかもしれないと思わせてくれました。
うちの子供たちに妖怪が存在すると思うか聞いてみると、小学6年の長男含めて全員が「何言よん?おるに決まっとるやん!」という反応でした。
(サンタさんは3人中1人しか信じてません)
水木しげるの本にもキジムナーが出てくるそうで、そちらで先に知っていたようです。「子供のうちは見えやすいとテレビで言よったけん、会えるんを楽しみにしとんや―。」とも。意外と子どもには身近な存在のようです。
私たちは幸運を感じる時に、実は周りのいろいろな人のおかげでその幸運をいただけていたりします。
しかし、その「おかげ」は見えにくく、なかなか周りの手助けに気付けずにいます。
些細な幸せを感じた時にも、今一度感謝の心を忘れぬよういたいと思います。
周りの方にも、目に見えないものにも。
H30年7月 スタッフO