癌と遺伝子



 がんは、細胞が狂ってできたものです。(蛋白質とは何か?ブルーバックス藤本大三郎著 p146)
1)ひとつは、とめどなくふえることであり、もう一つは、どこへでも動いて行くということです。
 体の中の細胞をとりだして、ガラス容器の中で、培養すると、増えた細胞がガラスの表面を全部おおってしまうと、そこで分裂をやめてしまいます。「分裂やめ」の合図がどこかからでているらしいのです。
 ところが、癌細胞をガラスの容器の中で、培養すると、癌細胞はガラスの表面をおおったあとも、どんどん増え続けます。

2)がんはたった一個の細胞が狂いだした結果起こると考えられています。
 それでは、どんなメカニズムで、細胞が狂ってしまうのでしょうか?
 癌を引き起こす三悪は、化学物質、放射線、ウイルスといわれています。
 発癌の重要な手がかりは、この中でもウイルスから得られました。

3)1910年にラウスによって、癌を起こすウイルスが発見されました。しかし、この発見の重要性は長い間、認められず、56年後の1966年になって、ようやく認められて、ラウスはノーベル賞をもらいました。そのときラウスは85歳になっていたそうです。

4)癌遺伝子(オンコジーン)は現在まで、20種類以上見つかっています。これは細胞の成長因子とよくにています。なかには、塩基1個しか違わないものまであるそうです。
 細胞成長因子はまずレセプターと結合します。すると、細胞の中に信号が送られ、細胞の活動が活発になるらしいのです。
 癌細胞が、めちゃくちゃに分裂し、増殖するのは、癌遺伝子が作る蛋白質と、細胞成長因子、およびそのレセプターのからみで説明できるようになるでしょう。

5)癌細胞では、細胞表面のフィブロネクチンが消えます。フィブロネクチンは細胞とコラーゲンを接着する「のり」の役をする蛋白質です。
 癌細胞がよそへ転移するときは、まず、基底膜という壁を通り抜けて、毛細血管の中にもぐり込みます。そしてよそへ運ばれ、ふたたび、毛細血管の壁を破って、外へでて行きます。基底膜や、毛細血管の壁にとりつき、くいやぶる性質が、癌の転移と深い関係があるといわれています。そして、これに関わるのが、ラミニンという蛋白質です。細胞の表面には、ラミニンと結合する場所があって、癌細胞には、この場所がたくさんあります。

6)癌になると、細胞表面のフィブロネクチンや、ラミニン・レセプターの数や状態がなぜかわるのでしょうか?これが、遺伝子変化のせいといわれています。現在の癌研究の中心をなしています。


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