ザウルスを使っての患者管理のやりかた


 「患者管理」の道具としてザウルスは大変なすぐれものだ。パソコンなど足元にもおよばない。
 扱う情報量が少なければ、パソコンを持っているより、ザウルスを持っていた方がはるかに実用的だ。値段もはるかにやすい。
 パソコンをなんでもできる万能の道具と思っている人がいたら、その考えは改めた方がいい。パソコンは要するに、情報の集積所だ。ノート型の小さなパソコンといえども、これで、すべての業務ができると思ってはいけない。

 パソコンのもっとも弱い部分が、個人情報管理。住所録をパソコンにいれている人があるが、あれは、年賀状か、暑中見舞いの年2回使うだけだ。個人情報はポケットに入れてなければ、役に立たないからだ。

 「患者管理」はザウルスにかぎる。電子手帳を改良してきた長年の実績がこれほど優れた情報機器をつくれた理由だろう。ぼくはこの電子手帳の発達改善とともに患者管理を変化させてきた。
 ぼくの電子手帳利用歴はふるい。PA-6000をつかって、患者のデータ管理を始めた。いわゆる 「漢字電子手帳」といわれたものだ。メモリーが少ないので、個人用の電話帳と、患者データ管理用と2台の電子手帳をポケットに入れていた。
 「先生はどうして、電子手帳を2台もポケットに入れているのですか」とひやかされたりしたものだ。

 そのころの患者管理は次のような簡単なものだった。

_________________________

氏名: 日本太郎 MK (病名は略号を使った)
     970303   (手術年月日)
電話: ***-****
住所: 高松市**町*番地

_________________________

 要するに病名と手術年月日だけわかるようにしていた。

 そのうち、メモリーの大きいPA9500,PA9550,ひきつづいて、PA9700がでた。ぼくは電子手帳を1台だけもって歩くくのでよくなった。
 シャープ電子手帳はPA9500から、電子手帳というよりはミニコンピューターと呼べるものになった。それから、現在のザウルスになったのだ。

 最初、ぼくは電子手帳を、パソコンに入力するまでのメモ機として、使うつもりであった。患者情報をパソコンにいれるためには、どうしても患者氏名、生年月日、住所、電話番号、入院年月日、手術年月日、手術術式、病理所見、その他をメモしなければならない。たったそれだけのことが、忙しい仕事の合間には結構できにくく、どうしても入力が遅れがちになって困っていたからである。
 実際に電子手帳に入力しているうちに、僕はこれが完全にデータベースそのものとして、つかえることに気付いた。
 ソート、セレクトは一瞬で、非常に早く、外来や病棟で、白衣のポケットから取り出して、いつでもすぐに、入力検索ができる。
 自分が手術や治療をしたおおぜいの患者の情報をすべて頭で覚えておくことは不可能だ。したがって、必要な情報はカルテを出してもらって、確認することになる。

 電子手帳を使用し始めてから、僕はこれらの情報をカルテがなくても、一発で見ることができるようになった。
 他のドクターからの数年前に手術した患者についての問い合わせにも即座に解答することが可能になったのだ。
 これまでは「すみません、カルテをとりよせて、後程こちらからお電話します。」
と解答していたのに、
 現在は「少々お待ちください。」と答えて、五秒で検索解答できる。
 いまでは、外科医の私の最もたよりになる秘書として、片時も離さずに利用している。

 現在の患者情報は以前よりずっと多くなって次のようなものになっている。あまり情報を欲張ると、リアルタイム入力ができなくなるから、できるだけ簡単で済ますのがこつといえる。

(以下はその例:もう少し情報を少なくしておいたほうが使いやすいと思う。)


______________________________

個人名      日本太郎  昭11=01.05    森
        ( 氏名 )  (生年月日)  (主治医)
電話番号    0878-41-**** 1135***
         (電話番号)      (カルテ番号)
ファックス番号 91+04.20 910415-910511
        (手術年月日)  (入院退院年月日)
会社名      胃癌             
        (病名) 
役職       胃切除術B1,D2,H0P0N0S0 M小0'2c 
            (手術術式)
所属       森、藤安、高木
         (術者、助手) 
郵便番号     761−01
住所       高松市***町番地
備考       moderately differentiated adenocarcinoma,0,2c,m,n0
(病理所見 その他)   

______________________________

(**病名の所は、電子手帳を落としたときのために、略号にしておいたほうが安全です。**)

 ポイントは「会社名」のところを、「病名」にするです。こうすることで、たとえば、会社名「胃癌」で検索すると、いまままで手術した胃癌の患者すべての名前を一覧できます。
 同様に、大腸癌、乳癌、肝臓癌、その他、どんな病気の患者でも一発で全員一覧できます。
 ザウルスだと個人で管理する患者情報なら十分です。
 電話帳1、電話帳2の医学百科事典の部分にもメモリーを使いたいので、少々値段は上がっても、もっとメモリーの大きい製品がほしいとは思いますが。
 この名刺管理は私のように手術記録として使う以外に、個人個人で工夫すれば、いろいろな形式のデータベースとして使えます。

電子手帳の使い方 電子手帳での患者管理の実際

 患者管理カードで、ちょっとした私の自慢の工夫について、お話する。

 医学管理で必要な月日の情報は、「患者の誕生日」「手術日」だ。
予後調査には手術月別に選択することが必要になるし、人間ドックでは、誕生月に案内を出すことが必要になる。)
 そこで、誕生月には「=10」のように月数の前に「=」マークをつける。
 そして、手術月には「+10」のように月数の前に「+」マークをつける。

 生年月日を例えば、昭和20=10・12 としているのは、
 「10月生れの人を全員選択るとき」に、「10」で選択すると、10年、10月、10日、のどれもが選択されてくるから困る。しかもそれが、何の月日かわからない。
 そこで、「=10」で選択すると、生まれた年に関係なく、「10月が誕生日の人」が選択できるのだ。
 同様に、また手術年月日のところで、91+04とした理由は、手術年に関係なく、4月に手術した患者全員を呼び出すためだ。
 癌の患者さんなどで、手術後一年ごとに予後調査をするときに、月別の手術患者の選択がどうしても必要になるからだ。この場合は「+04」でセレクトすれば、手術の年に関係なく4月に手術した人すべてを選択できる。
 ザウルスは電子手帳というよりは、ポケットで携帯可能なパソコンといったほうが適切だ。入力さえもう少し改善されれば、患者管理に使うのに最も機動性がある。


電子手帳の使い方 電子手帳での患者管理の実際



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