がん終末期のケア
Q:がんの終末期って、患者さんも、主治医も、家族のかたも大変ですね。
A:そうです。一番大変なのは患者さんです。
病院は本来病気をよくするところですよね。
それなのに、病状が日増しに悪くなってゆくのですから、患者さんの肉体的精神的悩みは、表現しがたいものがあるはずです。
Q:「がんの告知」についてどう考えればいいのでしょうか?
A:治癒不可能ががんで、「あとどれくらい生きれるかなど非常にシビアなケース」についてに限ってお話しします。
というのは、「がん告知」について、
1)、治癒が期待できる場合
2)、治癒が不可能な場合ではまるで、対応が異なるからです。
1)、の治癒が期待できる場合は、積極的に告知すべきと思います。
治療に対して、患者さんに協力をしていただく必要があるからです。
むずかしいのは、2)のケースです。
2)については、私は、クリアカットにいかないと思っています。
100%告知するとか、100%告知しないとか、告知がよいとか、悪いとか、数学的にはいかないということです。
100人の人の顔が全て違うように、100人の人には100通りの方法が必要なのです。
がんの終末期の告知にも、いろいろな段階があります。
a) 病名だけ告げる場合
b) 病名と同時に、治癒を望むのが”非常に困難”と告げる場合。
c) 病名と、治癒が”不可能”である事実を告げる場合。
d) 病名と治癒が”不可能”であり、なおかつ”あと数カ月の命”である事実まで告げる場合。
これだけの告知の仕方があるのです。
Q:「告知」一口にいってもいろいろなのですね。
A:そうです。
Q:この場合、何を基準にどこまで話すかを決めればよいのでしょうか?
A:患者さんとよくお話ししていると、患者さん自身がそれを教えてくれます。
Q:それは、どういうことですか?
A:d)までを望む人は、おそれずに、どんどん質問してこられます。
Q:望まない人は?
A:質問を途中でやめられます。
いままで、どんどん質問していても、ある部分から先は、急に聞いてこられなくなるのです。
Q:そんなにわかるものなのでしょうか?
A:そうです。患者さんは必ず私達にサインを送ってくれています。
Q:それによって話し方をかえるのですか?
A:そうです。
聞きたくない人にまで、「あなたは後2カ月しか生きれないのですよ」というのは、かわいそうです。
「私はあとどれくらい生きれるのでしょうか?」とずばり尋ねてくる人には、事実をお話しします。
Q:そのような人は多いですか?
A:いいえ、実際はそこまで強い患者さんはまれです。
だれでも、どんなに困難な状況でも、もっともっと生きたいと思うものです。
その部分は、だれでも、できればそっとしておきたいと思うのではないでしょうか。
Q:前もって患者さんから「アンケート」をとっておく病院もあるようですね。
A:良い方法だと思います。患者さんのだいたいの大きな考え方がわかるからです。
しかし、実際には、患者さん自身も、比較的まだ元気で気力のあるときと、病状が進んで、体力も気力も衰えた時とでは、気持ちが変わるのです。
これもあくまで参考にするのであって、全面的に信用してはいけないということです。