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vol.1 マタニティーライフ
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| 私が十年余り勤務してきた久万町役場は、今年八月に合併して久万高原町の本庁となった。新しい組織、新しい顔ぶれの職場には、新学期を迎えた学校のように期待と不安が入り混じり、緊張があふれていた。その緊張も解けないうちに、私は産休に入り、仕事からしばらく離れることになった。 大事な時期に仕事を離れることは残念でもあり、仲間たちに迷惑をかけるのではないかと負い目もあったが、私の代わりに仕事をしてくれる人はいても、代わりに子どもを産んでくれる人はいない。それに、この出産は長い間待ち望んできたことでもある。 長女を出産したのは十年前。結婚して二年目のことだった。一歳の誕生日まで育児休暇を取って復帰し、数年のちには第二子をと考えていたのだがなかなか恵まれず、五年後にやっと授かった命はわずか十週で消えてしまった。その後、不妊治療も始めてみたが、仕事をしながらの治療には限界があり、数カ月で断念。あきらめかけていた昨年、再び妊娠がわかって有頂天になったのもつかの間、その子もまた十週の壁を超えることができなかった。 仕事をしていると、自分の体のことは二の次になってしまうことが多い。一般 的に初期の流産は胎児側に原因があると言われるが、私の場合は二度とも仕事がとても多忙な時期で、悔やまれることが多々あった。仕事をしている限り、もう赤ん坊を抱くことはできないとさえ思った。 そして、相変わらず多忙な日々を送っていた今年の春、思いがけずまた新しい命が芽生えてきた。この子もだめかもしれないと覚悟していたが、周囲の配慮もあり、何とか産休までこぎつけた。元気な胎動、おなかの重み、手足のむくみ、眠りを妨げる腰痛、何もかもが十年ぶり。あとはただ、無事に生まれてくることを祈るのみとなった。 休みに入って仕事からは解放されたものの、日ごろおざなりにしてきた家事に追われ、やはり慌ただしい毎日。優雅という言葉とは程遠いが、残り少ないマタニティーライフを楽しみたいと思っている。 |
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(愛媛新聞「四季録」2004年10月7日掲載)
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<画像>キバナコスモス
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