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作家(小説家)になるにはどうすればいいのか、という中高生の質問に出くわすことがある。先ごろも本紙「ヤン落」欄で見かけ、妙に愛おしく感じた。
看護師や警察官のように然るべき学校へ進んだり必要な資格を取ったりしなくてはならない職業ならば目標も定めやすいが、作家になるのに決まった道筋などない。だから、周囲が夢の実現に向けて地道に努力している姿を見て、途方に暮れるのである。私もそうだった。
結果的には、私は作家にはなれなかった。でも、作家にならなくとも小説は書ける。書きたいと思えば、それが職業でなくても書けばよい。むしろ、職業でない方がよい。
少し前に話題になった「十三歳のハローワーク」の中で、村上龍氏は「作家は人に残された最後の職業」と表現している。ほかの職業から作家へ転身する例は多くあっても、その逆は政治家になった人がわずかにいるくらいでほとんどない、と。なろうと思えばいつでもなれるから、若いうちはもっとほかのことに目を向けるべきだと説く。
もっともな忠告なのだが、作家に憧れる中高生の気持ちもよくわかる。私は高校一年のとき、とある雑誌の新人賞に初めて応募した。とても小説などと呼べる代物ではなく玉
砕したが、その後も懲りずに様々な新人賞に挑戦した。自分では出来がよくわからないので、友達に無理矢理読ませて感想を書いてもらったりした。そのうち、一次選考や二次選考を通
過するようになり、短い話では賞をもらったこともあった。地味だが充実した青春時代だった。
私の場合、書くことは職業にはならなかったが、生活の一部になった。社会に出ても、結婚しても、子どもが生まれてもそれは変わらない。ずっと続けてきたことは、その質がどうであれ自信と誇りにはなる。
作家への道は厳しい。その栄光を手にし維持できる人はほんの一握りだ。だが、何もせずにあきらめることはない。夢に向かって努力する姿勢は、理想の形とは違っても、きっといつか実を結ぶに違いない。
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