vol.7 誕生、再び
 十一月上旬、予定日からたっぷり一週間遅れて待望の第二子が誕生した。三四五六グラムの丸々とした女の子。
 長女が生まれたのがちょうど十年前の十一月だったので、その間の年月を思えば一週間の遅れくらい何でもないはずなのだが、待つ日々の長かったこと。そして、陣痛が始まってから分娩室へ入るまでの二十時間、これも果 てしなく長くつらい道程だった。お産の痛みはすぐ忘れると言われるが、当分忘れられそうもない。
 しかし、そうした苦しみがあってこそ、力強い産声を上げる新しい生命体と対面 したときの感動は一入だ。直前までおなかの中で動いていた存在が、別の個体となって目の前に現れることの不思議。生命の神秘を身を持って感じられる貴重な瞬間でもある。  
  長女のときは二十四時間母子同室の入院生活で、疲労と緊張の連続ですっかり参ってしまった。同室のお母さんたちはみんな二人目の出産で、夜中に赤ん坊が泣いても気にせず眠っていたり、少しも動じることなく世話をしていたりした。その様子に感服するとともに、私はかえって自信をなくしナーバスになった。今思えば、あれがマタニティブルーというものだったのだろう。そんな私に、先輩ママは「何もかも完ぺきにやろうと思わず、気楽にやればいいよ」と言ってくれた。心強い先輩たちがいてくれたおかげでハードな入院生活を乗り切ることができ、家に帰ってからの育児にも戸惑わずにいられたと今でも感謝している。
 今回は少し楽をして、昼間だけの母子同室。授乳もオムツ替えも久しぶりだが、やはり初めてのときに比べれば格段に楽だった。ぐずる赤ん坊を片手で抱いて食事していると、同室の若いお母さんからは「慣れていますね」と感嘆の声も。疲れと心細さで早く家に帰りたいと思っていた十年前とは対照的に、もう少しいてもいいくらいだった。家に帰れば家族みんなからかわいがられる赤ん坊の愛らしい表情やしぐさを独り占めできる至福のとき。入院期間をそう考えて楽しめたのも、二度目ならではの余裕だろうか。
(愛媛新聞「四季録」2004年11月18日掲載)
<画像>待望の二女

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