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先月のある午後、家でくつろいでいると、長女が通う小学校から電話がかかってきた。予定していた集団下校が中止となり、迎えが必要とのこと。生後まもない二女をベビーシートに乗せ、急いで学校へ向かった。
着いてみると、ほかの保護者も子どもの手をにぎり、あるいは子どもの肩を抱えるようにしながら車へ乗り込んでいるところだった。何でも、インターネット上で子どもに危害を加えるという内容の書き込みがあり、教育事務所から県下の学校へ注意を呼びかける通
知があったのだという。具体的な地域名は挙がっていなかったものの、万一ということもあるので子どもたちだけでの下校を見合わせたとのことだった。
この騒動は幸いに悪質ないたずらで済んだようだが、くしくも同じ日に奈良県では小学一年生の女の子が誘拐され殺害されるという事件が起きた。とても人ごととは思えず、胸が締めつけられる思いがした。
私が幼いころは学校から四キロの道程を歩いて帰るのがいやで、知っている人でも知らない人でも車が通
るたびにみんなで「乗せてー」と叫んでいた。今ならとんでもないことだろう。
今の子どもたちは防犯ブザーを持って登下校している。不審者に声をかけられたときの対処法も学んでいる。しかし、子どもが自分で身を守るには限界があり、親や学校が気をつけていても行き届かない場面
もある。
そこで地域の協力が不可欠となるが、困ったときだけ頼っても十分な成果
は得られない。普段から地域の一員として子どもを育て、多くの人に見守ってもらえる環境をつくることが大切だ。その点では、過疎化と高齢化が進んでいても、田舎の小さな集落の方が有利かもしれない。
私の住む集落ではみんなが顔見知りで、見なれない猫が歩いているだけでも話題になる。隣近所の小さな目配り、こまめな声かけが、子どもの安全を守り、地域全体の安全を守ることにもつながる。地域の目は、古くて新しい防犯システムなのである。
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