第14話:好きに気づくクリスマス

「ジングルベール、ジングルベール、鈴が鳴る〜♪」
12月に入ると、街はすっかりクリスマスの雰囲気が漂い始め、お店のショーウィンドウにはサンタの人形や、クリスマスツリーなどが並べられている。街を歩くカップルも、冬の寒さのせいか寄り添って歩いている。
「えーと、本もノートも買ったし・・、これだけかな・・」
と、大地は久しぶりに本やら文房具やらを買いに街に出てきていた。
「クリスマス、何が欲しい?」
「指輪が欲しいなあ」
宝石屋の前でカップルがそんな会話をしているのが耳に入ってくる。大地はその様子を見つめ、
「もうすぐクリスマスか・・、ま、おれには関係ないことだけど」
とひとり言を言って、駅に向おうと歩き始めたその時、
「あ!大地〜!!」
と、聞きなれた声が後ろから飛んできた。振り返ると、鈴がこっちに向って走ってきている。
「し、椎名!?」
大地は驚いて声をあげる。鈴は息を切らしながら走ってきた。
「ぐうぜんね、大地も街に来てたんだ。私もね、欲しかったCDがあって買いに来てたんだ♪大地は?」
「お・・、おれは本を買いに・・・・」
大地は偶然鈴に街で出会ったことにドギマギしている。鈴は、何かを思い出したような顔をして、言った。
「あ!そうだ!大地、もしよかったら、ちょっとつきあってくれる?」
「へ?」

鈴が大地を連れてきた場所は、かわいらしいカフェ。女の子が好きそうなかわいい雑貨やぬいぐるみや食器などが飾られていて、店内も女の子やカップルでいっぱい。大地は、こんなかわいらしいお店に来たのは、もちろん初めて。また鈴と二人きりで向かい合って座っていることにも慣れなくて、落ち着かない様子。鈴はそんな大地の気持ちを知るわけもなく、
「ここのチョコレートパフェ、すっごくおいしいって有名なんだよ♪だから一度食べてみたかったんだ♪」
とにっこり笑うものだから、大地は、
「へ、へ〜・・・・」
と一応あいまなあいづちを打ちながらも、心の中ではいろんな思いをかけめぐらせていた。
『ど、どうしたらいいんだよ〜(汗)!いつもは優がいるから、会話をひっぱってくれるけど、し、椎名と二人きりで、こんな店で向かい合って座っていたら、何を話していいのか分からない・・・・、な、なんかいい話題はないのか?なにか・・・』
注文したチョコレートパフェが出てきたけど、大地は相変わらず難しそうな顔をして何かを考えている様子だったので、鈴は、
「大地?」
と、声をかける。大地はハッと気が付く。
「もしかして・・、甘いの苦手だった?私、無理して連れてきちゃった?」
と鈴が不安げな顔をして言うものだから、大地はあわてて、
「い、いや!苦手じゃない!」
と、言って、急いでチョコレートパフェを食べる。
「どう?おいしい?」
「ああ」
大地はあわてていたので、美味しいとかまずいとか感じる間もなかったが、鈴が心配そうな顔をしていたので、安心させるような返事を返していた。鈴は大地の言葉を聞いて、
「よかった〜」
と、にっこり笑う。大地はその笑顔を思わずじっと見つめてしまった。
『なんでだろう・・・、椎名といると・・、なんだかふんわりした気持ちになってくる・・。今まで誰かと一緒にいて、こんな気持ちにさせてくれるような人は誰もいなかったのに・・・・。』
「あれ?大地と鈴ちゃん?」
と、またまた聞きなれた声がして、鈴と大地が振りむくと、そこには優が女の子を2、3人連れて立っていた。
「優くん!?」
「ゆ、優!?」
大地は一番この光景を見られたくなかった人に、見られてしまったような気持ちになって一瞬「ギクッ」とする。優はにっこり笑って、
「もしかしてデート中だった?」
と言うと、鈴と大地は顔を赤くしながら、
「ち、ちがう、ちがう!!」
と否定した。
「たまたま、ぐうぜん大地と街で出会って、私が無理にここに連れてきたんだよ。ね、大地?」
「あ、ああ」
と、二人があせって言ってる様子を、微笑みながら見ていた優は、連れの女の子達の方に振りかえり、
「ごめん、陽子達、今日はつきあえないや」
と、言うと女の子達は
「え〜!?今日はショッピングにつきあってくれるっていう約束だったじゃない!優!」
と、プリプリ怒り始めた。そんなことおかまいなしで優は笑って
「ごめん、ごめん。この埋め合わせは、クリスマスプレゼントふんぱつするからさ、許してくれ(笑)」
と軽くあしらう。鈴と大地はその光景をポカーンと見ていた。女の子達はプリプリしながらも、店を出て行った。
「というわけで、ぼくもチョコレートパフェを食べようかなあ♪」
と、優は鈴の隣に座ってメニューを見始めた。鈴は心配そうな顔をしながら、
「それより、優くん。さっきの女の子達との約束やぶっていいの?」
と聞く。優は笑いながら、
「ああ、いいの、いいの。クリスマスになんかプレゼント贈っておくから。あ、もちろん鈴ちゃんにもプレゼント贈るよ♪何か欲しいものある?」
と言って鈴の顔をのぞきこんだ。
大地は優の行動を見ていて、ふと思った。
『優って・・・、すっごく気が効くんだな・・・。椎名にクリスマスプレゼント贈るなんて・・、おれはちっとも考えたことがなかった・・』
と、思っていると、鈴が
「じゃあ、私も優くんと大地にクリスマスプレゼント贈るね♪いつも二人にはお世話になっているから」
と、言う。大地はその言葉を聞いて驚いているが、優が、
「楽しみにしているよ♪鈴ちゃん♪ね、大地♪」
と、言ってきたので、
「ああ」
と答えるしかなかった。

その夜、大地と優の部屋では・・・。
「で、大地ももちろん鈴ちゃんにプレゼントを贈るんだろう?」
と、風呂上りの優が大地に聞いてきた。
「お、贈るって言ったって、何を贈ればいいのか・・・」
「大地、女の子にプレゼントなんて贈ったことないもんな」
大地は、窓の外を見ながら、
「おれは・・・、優みたいに椎名の喜びそうなプレゼントなんて思いつきもしない・・。何を贈れば喜ぶのかも全然分からない・・・」
そう言って、うなだれる。優は、大地がすっごく悩んでいるのがよく分かったので、大地の側にいって、ポンと肩をたたいた。
「鈴ちゃんは、大地が一生懸命選んだプレゼントならなんだって喜ぶよ」
と言って、にっこり笑った。
「一生懸命選べば・・・」
「ああ、鈴ちゃんは素直でいい子だもん♪大地が選んだプレゼントをもらったら、絶対喜んでくれるよ。だからそんなに悩むなよ、大地。きっと素敵なプレゼント見つかるよ」

2、3日ずっとプレゼントのことばかり考えている大地。授業中もなぜか、ふと視線は鈴を追っていて、何度か目が合うたび、あわててそらしている。
「はあ〜、何やってんだろ・・、おれは・・。」
中庭で一人、ため息をついてベンチに座る。外はもう12月で寒いけど、今日のお昼は太陽も出てほんの少しだけ暖かい。
「クリスマスは着実に近づいてきてるっていうのに、プレゼントは全然思い浮かびもしない・・・。女の子って何が欲しいんだろう・・」
と、またプレゼントのことで悩んでいると、後ろから
「怪盗サイレンス!」
という声がしたので、びっくりして振り返ると、茂みの奥に松平君と姫子さんが二人で歩いている姿が見えた。大地は木の後ろに隠れる。
「怪盗サイレンス、最近現れないわよ〜!一樹〜!どうしてくれるのよ〜!!」
「そんなこと、おれに文句言うなよ」
「一樹がへまばかりするから、現れないのよ」
「な、なに!?おれのせいばかりにするなよ!姫子だって捕まえられないくせに!」
と、なにやらまた怪盗サイレンスのことでけんかしているらしい。姫子さんは、松平君の最後の一言にムッとしたのか話題を変える。
「それはそうと、一樹。今年のクリスマスプレゼント、『お菓子の詰め合わせ』は嫌だからね。」
松平君は、かなり話題が変わったので、
「はあ???」
と目をまるまるさせる。そして、
「バカ言うなよ。お菓子買うだけでも、おれの少ないおこづかいで買うのは大変なんだぞ〜(汗)!!」
と、反論。姫子さんも負けずに、
「他の友達なんて、指輪とかもらったりしてるのよ〜。私だけ『お菓子の詰め合わせ』なんて、い・や・だ、わ」
と、指輪などを要求してきたので、松平君は目を白黒させる。
「なんでおれが、姫子に指輪なんぞ送らないといけないんだ?!指輪買える金があったら、他のもの買ってるよ」
姫子さん、その答えにムッとする。
「じゃあ、クリスマスの夜に素敵な企画でも立ててよね。一樹、私がいなかったら、一人でクリスマスを過ごさないといけないのよ。こんなかわいい子、他にはいないんだから」
「うちは仏教だから、関係ないもんね〜」
と、ギャ−ギャ−とけんかをしている松平コンビの会話を聞いて、大地は、
「お菓子は・・、やめたほうがいいのか・・??」
とふと思う。すると後ろから
「あ!鈴ちゃ−ん!」
と、言う声が聞こえてきて、大地はびくっとする。振り返ると鈴が姫子さんにつかまっていた。
「今ね、クリスマスの話をしていたのよ♪鈴ちゃんは、雨夜くんから何かもらうの??」
「え?大地から?」
「そう、雨夜くんは、うちの変な一樹と違って、素敵なプレゼント選びそうよね〜♪うらやましいわ〜♪で、夜は二人きりのクリスマスデートなの??その時に赤いバラの花束なんか持って現れたりして〜、いいわね〜。」
と、一人盛り上がってる姫子さん。大地はそれを聞いて、
「あ、赤いバラの花束なんか恥ずかしくて、持って歩けるかよ(汗)」
と思うものの、
「でも・・・、花とかの方が喜ぶのかなあ・・・」
とも考える。ふと鈴の声が聞こえてくる。
「あ、あのね、姫子さん。別に私は大地とつきあってないから、プレゼントなんて期待してないよ」
「あら、そうだったの?じゃあ、鈴ちゃんは、雨夜くんと深沢くんとではどっちの方が好きなの?」
姫子さんの質問に、大地はハッとする。松平くんが、
「雨夜くんのことは、鈴さんも嫌いでしょう。あの人嫌味言うし、怒りっぽいし」
と、言うものなので大地はムッとする。そして心の中で
「お、おまえには言われたくないよ(怒)。そりゃ・・、おれは確かに怒りっぽいかもしれないし・・・、優みたいに気は効かないし、椎名にもいっぱいきついこと言ってきた・・・。椎名もこんなおれより、優の方が・・・・」
と思っていると、鈴が
「それは違うよ、松平君。大地はすっごくすっごく、やさしいんだよ。いつも私が困った時には必ずたすけにきてくれるもん。照れ屋さんだから、素直に感情見せてはくれないけど、私には分かるんだ、大地の本当の優しさが」
と、にっこりしながら言った。大地は、鈴の言葉を聞いて、自分の心臓がドキドキしているのが分かった。
『なんでだろう・・、昔はあいつに嫌われていたって、全然平気だったのに・・・。今は・・、あいつがおれのことどう思ってるかが、すっごく気になって・・・。しかも、なんでこんなにドキドキしてるんだよ!別におれは、椎名のことなんて・・・・・・・・』
大地は、自分の気持ちが自分でもよく分からなくなって、大きなため息をついた。

クリスマスまであと3日という夜、部屋で優は大地に提案をもちかける。
「24日は、3人でどこかに遊びにでかけよっか♪クリスマスの夜は、寮を抜け出すカップルとか多いんだぜ、知ってた?」
と、のほほんと大地に話しかけるが、大地はまだクリスマスプレゼントのことで悩みつづけていた。
「だ、大地・・(汗)。ここんとこ1週間ぐらいずっと悩みつづけているじゃないか。大丈夫か??」
大地もなんだかすっかり疲労しきっている様子。
「プレゼントなんて女の子に贈ったことがないから・・、分からないんだ・・。いくつか考えてみたんだけど、どれを選ぼうかと・・・」
そんな大地を見て、優は微笑む。
「じゃあ、もし大地が、姫子さんとか鈴ちゃん以外の女の子にプレゼントをあげるとしたら、何をあげる?」
大地はあまり悩んだ顔もせず、
「何って・・、お菓子とか、てきとうに・・・・」
その答えを聞いて優はにっこり笑う。
「やっぱり鈴ちゃんは大地にとって、特別な人なんだね」
「え!?」
大地は、優の発言に驚く。そして、
「な、なんでそんなことが言えるんだよ、優」
と、しどろもどろしながら、優にたずねた。優は、大地の目をまっすぐ見ながら、
「だって、今の答えに全て大地の気持ちは出てるよ。他の女の子へのプレゼントは何にする、って聞いたら、全然悩みもしないで、『お菓子とかてきとうに』って答えただろ?でも、鈴ちゃんに贈るプレゼントは?ここ1週間悩んでるのに、まだその答えは出ていないし、適当にも考えられない。つまり、大地にとって鈴ちゃんは他の女の子とは違う、特別な女の子なんだよ」
大地はその言葉を聞いて、真っ赤になる。
『お、おれにとって椎名は・・・・、特別な・・・・人・・・』

今日は12月24日、クリスマス・イヴ。街は多くのカップルであふれ、にぎわっている。これから夜を迎えようとする黄昏時のどことなく切ない雰囲気が、恋人たちを包み込む。優が指定した待ち合わせ場所に大地は時計を見ながら、鈴と優が来るのを待っている。
「プレゼント・・・、買ったけど・・・、こんなのでよかったのかな・・」
と、ポケットの中のプレゼントをにぎりしめながら思っていると、
「大地〜!遅れてごめんね〜!」
と、鈴がスカートのすそをヒラヒラさせながら走ってきた。いつもよりおしゃれしている鈴を見て、大地は思わず赤くなる。
「へへへ、方向音痴だから迷っちゃって。本当にごめんね」
「い、いや」
「あれ?そういえば、優君は?」
「あ、優はまだ・・来てないなあ・・。そういや、待ち合わせ時間にまだ来てなかったら、優の携帯に電話をしてくれって、言ってたっけ?」
と、大地は優が出かける時に言っていた言葉を思い出した。鈴と大地は携帯電話を持っていないので、公衆電話を探して優に電話をかける。
「あ、もしもし?優か?」
「お♪大地〜♪」
「何してるんだよ、椎名はもう来てるぞ。」
「フフフフ、おれから二人へのクリスマスプレゼント♪今夜は二人きりでクリスマスの夜を過ごしてきてくれ♪」
「ハア!?」
「せっかくのチャンス、逃すなよ、大地♪じゃ〜ね」
「お、おい!!優!?」
「ツーツーツー」
「き・・・、切りやがった・・・・」
ハア、と大きくため息をつく大地。鈴が、
「どうしたの?優くんは」
と、心配そうな顔をして聞いてきたので、大地は、
「用があるから来れないんだって・・」
と答えるしかなかった。
「優くん、来れないの?・・・そっか、残念だね」
と、鈴が少し悲しそうな顔をした。大地はそんな鈴を見て、心の中で何かが動くのを感じた。そして、ある行動に出た。
「ゆ、優いないけど、これからどこかに・・・い、行くか?せっかく出てきたのに、このまま帰るのも・・な。そ、その・・お、おれといても・・、楽しくないかもしれないけど・・・。」
大地は自分でもなんでこんなこと言ってるのかよく分からなかったけど、なぜかこのまま帰ってしまうのは嫌なような気がした。でも、こんなことを言ったことを少し後悔もした。鈴が「行きたくない」と言うんじゃないのかと思って。頭がパニックになってきた大地は弱気になってくる。
「い、いや、行きたくなかったら帰って・・」
と、自分の提案を打ち消そうとした時、鈴がにっこり笑って、
「楽しくないことなんてないよ」
と言う。
「え?」
「大地と一緒にいて、楽しくないなんて思ったことないよ。それより、こんな素敵なクリスマスの夜に大地の側にいるのが私だっていうことの方こそ、ごめんなさいだよ、へへへ」
大地は鈴の微笑む顔を見て、心の中ではりつめていたものが溶けていくような気がした。ほっとした後に、心の奥から、うれしいような照れくさいようなそんな気持ちがわいてきた。でも、顔には出さないで、
「じゃ、じゃあ、行くぞ」
といつものようにそっけなく言って、スタスタと歩いていく。鈴は、にっこり笑いながら
「待ってよ〜、大地〜」
と言ってその後を追いかけた。

鈴達の住む街の中心街では、1本道を1キロぐらいイルミネーションで飾るイベントが毎年行われている。クリスマス期間、その道は車が進入できないように封鎖して、歩行者天国となっている。道の両側の木や電線などから、イルミネーションの線がつなげられて、遠くから見ると、あたかも「光のトンネル」がその場所にあるように見えるのだ。毎年、多くの見物人が「光のトンネル」を見に遠方からやってくるので、すごい混雑する場所としても有名である。鈴と大地は、「光のトンネル」をまだ見たことがなかったので、それを見に行くことにした。
目的の駅を降りる。
「うわ〜。すっごい人だよ!私、こんなに多くの人を見たのは初めて!」
「ああ、どこからやってきてるんだろう・・、こんな多くの人・・」
駅から少し離れた通りに「光のトンネル」はあるのだが、駅付近からすでに人はいっぱいで、みんな行列をなして目的地に向っている。
「この人たちについていったら、目的地には必ず着きそうだね」
「地図とか見なくても、無事につきそうだな」
周りはカップルが多くて、みな腕をからませたり、手をつないだりしている。でも、鈴と大地はつきあってるわけじゃないので、微妙な距離が二人の間にはある。しかし、「光のトンネル」が近づくにつれ、益々人が増え出してきて、満員電車のような雰囲気になってきたので、嫌でも密着してしまうハメに。しかも、行列は前に進まなくなってきた。。
「すっごい、人だね〜。でも、なんで、これ以上前に進まないんだろう??」
鈴は人にはさまれてしまい、前の様子が全然見えない。大地は鈴よりは身長が高いので背伸びして様子を見てみる。
「まだ、光がついてない・・、確か点灯は5時半だったから、みんな点灯の瞬間を見ようと、待ってるんじゃないのか?」
大地が時刻を見てみると、5時25分頃だった。
「もうすぐ点灯だ」
「フェ〜、私、周りを人に囲まれてるから何も見えないよ〜(涙)」
そんなことを話していると、時計の針は30分を指した。
「うわあ〜!!」
という観衆の声があちこちから上がる。そして止まっていた行列も再びゆっくりだけど前に進み始める。
「あ、ライトがついたぞ、椎名・・・」
と、大地が鈴の方を見ると、鈴はその場所にはいない。人の列が動き出したせいで、人の波によって鈴は大地とは違う方向にどんどん流されていく。
「だ、大地〜!」
「し、椎名!?」
大地は鈴を追いかけようとしたが、違う人の波に押され始め、思うように動きがとれない。そして、とうとう鈴の姿を見失ってしまった。
「くっそ〜!なんで、こんなことになるんだよ!」

クリスマスの夜、鈴と大地は再び出会えることができるんでしょうか?

つづく