• 「自閉症の子供たち」
      • 心は本当に閉ざされているのか


            酒木保著...臨床心理士
            PHP新書、編集プロダクション・関西シーエス...狩俣昌子

    「人は、人が分からない......」

    編集プロダクション・関西シーエスの狩俣昌子女史からお便りで御紹介を
    いただいたうえに著書も送っていただきました。
    感謝いたします。


    自閉症のことを勉強、整理するとき
    我々親としては、今まで考え捉えてきた方向の
    確認をすることと、もう一つ違った方向から
    子供たちのことを捉えることで少しでも
    ベストに近い対応ができるようになりたい。
    また、幅広く見つめ直したいと考えると思います。
    そのためにさまざまなところから情報を収集したり
    話し合ったりするものです。
    そんななか、貴重な実体験から繰り広げられる
    考え方や実践報告には、共感する部分、勉強になる部分が
    多々あると思います。
    その一つの著書が今回の
    「自閉症の子供たち」であると思います。
    著者の酒木保医師が臨床心理学、臨床心理士という立場から
    今まで実際に触れ合ってきた子供たちへの
    対応、発見、学習、確認のプロセスを
    非常に謙虚なことばで表現していることに
    驚きとともに嬉しい思いも持つことができました。
    自閉症に対する研究は、まだまだ
    始まったばかりであり、「人は人が分からない!」
    謙虚な姿勢を確認するところからはじめるべきであり、
    自閉症児、者、と彼に相対する人が自由に柔軟に
    接することが基本である。
    そこから自閉症の奇異、不可思議とだけとられてしまう
    行動からさまざまな手がかりを見いだすことができると
    言う考え方は、文句無く素晴らしいと思います。
    自閉症児の行動の原点は、自分の不安定な存在感、自分としての確認の
    困難さから生じているところの周囲にたいする恐怖心が
    自己防衛的であり周りの人にとっては、奇異な発言行動の
    原因であるという考え方。
    その恐怖心を取り払い積極的に内から外へ向けての
    行動がとれるように彼らにとって安心できる心地よい環境を
    整えることが先決であるということ。
    守る必要のない心地よい環境であると感じること。
    私ども親が子供と20年の間、相対し、悩み、考え
    最近になって同様の考えを持つことができるようになったのです。
    それを、この著書で確認できたように思います。
    また、自閉症児、者がどのような空間に存在しているのかという
    考え方「ここ、そこ、あそこ」は、今までの私たち親の視点からは、なかなか
    発見しにくい方向性を持っている様に思われ
    この点は、非常に新鮮で参考になりました。
    この著書の価値が十分にあるのではないかと思われます。
    その他、自閉症の今日までの診断の変遷や
    TEACCHプログラムに代表されるような統合プログラムについて
    の紹介とともに結論的に、
    親の存在、教育現場における教師の教育の重要性とともに
    はじめにも書かれてある
    「自閉症について分かっていることは、まだ、ほんの少しである。」
    と言う謙虚な態度に立ち返ること。
    力でねじ伏せる大昔の教育を捨て去って
    子供たちを生かしながら導き援助するという姿勢
    親をはじめとして、教育者、治療者のすべての人が
    この考え方を心に刻みながら接することが自閉症児、者における
    二次障害を防ぎ、さらに好ましい状態へと導くことができるのではないか!
    子供たちの状態があり、そこからすべてを始めると言う考え方だと思うのです。
    ”自閉症について分かっていることは、まだ、ほんの少し.......。”




  • 「自閉症の才能開発」
      • 自閉症と天才をつなぐ環
        Thinking in Pictures

            テンプル・グランディン著
            カニングハム久子訳...学習研究社

    「自閉症児の多くは、視覚イメージで考えるのです......」

     「我自閉症児に生まれて!」を読まれた方はたくさんいらっしゃるでしょう。
    ただ、少し理解しにくいかな?という気持があったのではないでしょうか。
     しかし、「自閉症才能開発」 は、私の入りにくい頭にも自然に溶け込んでくるのです。
    それと合わせて「我自閉症児に生まれて!」の内容をより理解できるようになったのです。

     自閉症者として、また専門家としての知識から述べられている
    自閉症の行動分析と その分析による対処法は、私たちの発想の及ばない彼女だけが持つ説得力のある ものです。
    そこに余分な感情が入り込まない分だけさらに意味があるのです。

    この著書は、自閉症に関係した全ての方に読んでいただきたいのです!
    御自分のお子さん、携わっておられるお子さんに関して のすばらしいヒントが ここにあるのです。細かな内容の紹介は、差し控えますが
    ひとつだけ、
       「親は、研ぎ澄まされた直感を信じるべきである。さまざまな方法を試してみて、効果のあるものを続け、そうでないものはすてるがいい。  いくつかの違った方法を組み合わせると、相乗効果が生じることがよくある。」
       という著者のメッセージだけを紹介しておきます。

           ”親の直感を大切に.....”




  • 「ニューヨーク障害児教育事情」
          • カニングハム久子著...学習研究社

    この本の存在を私が知ったきっかけは、著者である
    カニングハム久子さん からいただいた励ましのメールからでした。
    その時、障害児教育の先進国であるアメリカ、ニューヨーク在住の
    セラピスト の方からのメールということで大変感激し、
    何かを吸収したいという気持から この著書と後に紹介する本を購入して読んでみることにしたのです。
    しかし、それほど内容に期待していたわけではなかったのですが...

     読みはじめて、私はこの中の世界に引き込まれていきました。
    著者自身の事故によるハンディキャップを持ってから
    渡米、勉学、障害児教育にかけた情熱、パワーを各ページごとに
    感じてこんなにもすばらしい日本人女性の存在に感激してしまいました。
     その後に続く重複障害児たちとの30年、なかでもアレックスという
    男子と彼の持つ障害とのすさまじい闘いのなかに、
    裕生と私たちの苦悩の日々が重なってそのまま、わたしの中に
    飛び込んで来たとき、続けて読むことができなくなったほどでした。
    この著書は、もう単なる一冊の本ではなくなってしまいました。
    私たちの大切な宝物になったのです!

    我が家の紹介コーナーへ



    TOPのページへ