うだつシンポ ■「制度が変わる 親の役割は」 平成14年3月17日


主催 脇町手をつなぐ育生会 脇町手をつなぐ親の会
     脇町社会福祉協議会 うだつシンポ実行委員会



「当面する障害者福祉の動向」 


              講師 副島宏克氏(社会福祉法人「若葉」総合施設長)の講演より


「措置」から「契約」
利用者主導の支援の在り方が求められて

施設型福祉から地域型福祉へ福祉の流れが変わります。

親、家族にかわる地域の支援体制がどの程度整っているか
地域の人々の理解度は、十分受け入れてくれているのか。
「障害を持ったまま、地域で生活できる。そんな地域を作り出す。」
障害のある人本人やその家族について、広く一般の人々が正しい理解を
もつような働きかけと支え合いが必要です。
地域での生活を考えるときに、地域の人とのかかわりを忘れてはいけません。
毎日の本人とのかかわりによって本人の周りに地域の人とのかかわりが
広がっていき地域で支える組織が少しずつできることになります。

地域で生活するための大切な三つの要素
1)本人の力
 指導・訓練でなく、体験・支援が大切であり、自分のやりたいことをやる体験の豊富さが
生きる力をつけ、自信につながります。
2)生活への援助
 援助はできない部分への援助でよく、時にはちょっとした支えで十分です。 
本人のペースで物事をやってもらうことです。
そして、その上に本人の周りに地域の人の 支えがあることが大切です。
3)地域の理解
 地域の人々が、障害者、要介護者と共に生活する機会に慣れてもらうことが大切であり さらに、
その本人を知る人が地域にどれだけいるかが大切な要素となります。さらに、
 その本人を固有名詞で知ることが重要です。

生活を支えるネットワークづくりは、親(保護者)と施設(資源)と地域の共同作業で

重い障害のある人を抱える家庭では、医療や養育、日常生活のさまざまな場面での
介護、介助等をめぐって、家族は精神的な緊張と、身体的な無理を重ねることは少なくありません。
だから、もし家族が倒れてしまったら、地域での生活は根底から崩れてしまいます。
障害のある人の家族を支えることを考えるとき、家族への援助だけでなく、
障害のある人やその家族について、広く一般の人々が
正しい理解を持つような働きかけが必要です。
そして、その人をも包み込んだ家庭(生活拠点)の安定を図ることです。
1)親(保護者)の役割と、意識改革
 親は、本人の自立を阻害する一番の要因であると言われています。
 本人を一社会人として認め、「支援を受けながら自立する」と言う自立があることを
知って欲しいと思います。

施しの施設から脱皮しよう。(福祉はサービス業)
サービスを選んで買う、かしこい消費者になろう。
挑戦のためらいから脱皮ししょう。(ゆで蛙になるな!)

2)地域の役割
 地域の生活を進めるうえで大切なことは、地域の人たちが知的障害者と共に生活する環境に慣れ、
それが自然だと、言う認識が生まれることです。
そのためには、本人が地域と日常的に交流し、地域のために役立つという姿を示すことが必要です。

地域の社会資源の利用
地域を巻き込んだ支え合う社会づくり

3)施設の役割
 施設は、障害者のトータル支援を目指して、たよられる施設でありたいものです。
 そのためには、本人の自己決定を支援していくことが大切であり、本人との信頼関係を築き、共感し、
 リスクを負い、自己実現のための共同作業を行なうことです。
  どんな場合でも、選択肢をそろえる。
働く場を地域の中に持ち、地域貢献できる仕事を開発する。
利用者を「あきらめ」の気持ちにさせないこと。本人の期待を裏切らないこと。

地域で生きるための力を育てるには(社会経済活動への参加)

「障害を持っている。だから不幸である。」ではなく、「障害を持っている。でも幸せになれる。」
という思いが障害者の心の中に生まれなくては、課題は解決しない。

1)自立と自律......自律ができたら立派な自立!
2)意欲を育てる....喜びのある毎日を!(自己選択と自己決定)
3)自己実現
 一 信頼されて任されているときに育つ責任感
 二 よけいな干渉をされず、自ら行動する自律性
 三 自分で考え決定し、結果も自己責任とする自己決定

豊かな個性を育て、地域社会で生き生きとした生活を築く基本テーマは
「自分で自分の人生を決めるという自己決定の能力」である。


支援費制度は、障害者福祉サービスの新たな利用制度

支援費制度は、ノーマライゼーションの理念の下、障害のある方が自己決定することを尊重し、
利用者の立場に立ったサービスを提供することを目的としたサービスです。
今まで、障害者福祉サービスは、行政がサービス提供事業者やサービスの内容等を
決定していました。
平成15年4月からは、市町村から支給決定を受けた障害のある方が自らサービスを選択し、
サービスを提供する事業者との間で契約を結びサービスの提供を受けたあと、市町村が
そのサービスに対して「支援費」を原則的に事業者に支払い(代理受領)、利用者は事業者に直接
利用料を支払う制度に変わります。
なお、サービスの選択を行なうためには、サービスの基盤整備が不可欠であり、
今後、都道府県および市町村には基盤整備向けた積極的な取り組みが求められています。



今回の新しい制度に関して
私ども保護者の立場として心配な点、地域の市町村の状況を確認して勉強すべきところは、
以下の点ではないでしょうか!

1.地域の市町村を中心とした支援体制がどの程度整ってきているのか、
(市町村の担当課、担当者、民間の支援組織、ボランティアの有無)
 不備な点は何か、要求していく点は?
 市町村役場で担当者から、あるいは出向いてもらって説明を受ける必要性があると思われます。
2.支援費の申請後の審査過程、基準の問題など
 医師、審査担当者、項目別になると思われる判定基準 の内容
  ...判定によっては今までどおりのサービスが受けられなくなる場合も考えられます。
 自己負担の割合も問題になってきます。....介護保険制度と同様の問題
  以上のようなところがポイントになってくると思われます。
  2003年4月からスタートします!





パネリストを含めてのディスカッションでは、

施設の問題点として職員の数的、質的な不足、現状について....

1. 利益を獲得できる仕事を増やすことによってパート雇用に結びつける。
2. 余裕のあるところから必要としているところへスタッフがサポートする体制づくりをする。
3. 質の高い職員の採用。1年の研修期間を経て採用不採用を見極める。
  該当者が見当たらない場合は、見送る....ぐらいの姿勢が必要。

   結局、職員の資質の問題である。
これからの施設の存続の道として
 どれだけ重度の人に対して対応できるかと言うこと.....重度行動障害など
 対応できる......スタッフを中心とした体制づくり

今回の制度改正について市役所、町役場などから個人に対して紹介がないのはどうしてか?
 役所は、こちらからの要望がなければ基本的に動かない。
 われわれが積極的に要求を出していかなければならないということでです。
 役所を動かすのは、われわれであるということ。


これからのことへ



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