不易と流行の教育

 21世紀の新しい教育を志向して、学校教育では「不易」と「流行」の教育がいわれている。「不易の教育」が求めるのは、つねに時代を越えて変わらないものをしっかりと見つめ、先人が努力し長年にわたって築いてきた知識や技能、文化などの維持・継承に努めることによって、生活を豊かにするとともに、この不易なるものを次世代に受け継がせていくことである。言い換えれば、いわゆる基礎・基本といわれているものの確かな定着である。ある意味では、学習指導要領における各教科等の内容も先人から受け継ぎ次世代に伝えるべき基礎・基本であり、基本的な生活習慣も豊かな社会生活を営んでいくために必要な事柄であり、その定着を図ることこそ時代を越えて指導しなければならない不易の教育といえよう。

 一方、社会の急激な変化、高年齢化、国際化、価値観の多様化などに対応し、生涯学習体系に位置付けられた教育の推進、変化に対応したくましく生きる人間の育成などが強く求められてきている。生きる力の育成、心の教育などの推進である。そののために、新しい領域として、「総合的な学習の時間」が創設されたり、課題学習や体験学習が重視されたりしている。流行の教育の推進である。

 これからの学校教育では、「不易の教育」と「流行の教育」の調和を図りつつ、21世紀のための新しい教育を考えて教育課程を編成し、日々の指導に励んでいくことが必要であろう。

                  東京教育研究所 EduNewsより  西村文男元跡見学園女子大学教授
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