戸籍書き換え修正

                        非嫡出子「続き柄」、戸籍に訂正跡残さず…法務省方針

 法務省は20日、法律上の結婚をしていない両親の子供(非嫡出子)について、両親らが続き柄の書き換えを申し出た場合、訂正跡を残さない形で修正する方針を固めた。政府部内で「一目で出生状況がわかる訂正では意味がない」との意見が出ているためだ。
 現行の戸籍では、非嫡出子は「男」「女」と表記されている。同省は10月にも、非嫡出子の戸籍の続き柄欄に嫡出子と同様、「長男」「長女」などと記載するよう戸籍法施行規則を改正することにしている。これに合わせて、全国の法務局などに書き換えの方法を示す通達を送る。
 非嫡出子の戸籍上の表記をめぐっては、東京地裁が今年3月、現行の記載方法はプライバシーの侵害にあたると認定したため、野沢法相は施行規則を改正する方針を表明した。人口動態調査によると、2003年に生まれた非嫡出子の割合は1・9%で増加傾向にある。施行規則改正の背景には、非嫡出子の法的な扱いを嫡出子と同等にすべきだとの考え方の広がりがある。
 施行規則が改正されれば、すでに「男」「女」と記載されている非嫡出子でも、記載を訂正することができる。しかし、両親が「長男」などへの訂正を求めた場合、「男」の部分に朱線が引かれ、訂正理由も書き込まれるなどの問題点が指摘されていた。
 法務省は戸籍法で定めている「戸籍簿の再製」の規定を準用し、申し出があれば、痕跡が残らない形で書き換えに応じることにした。
 「戸籍簿の再製」の要件について、戸籍法は〈1〉虚偽の届け出〈2〉錯誤による届け出〈3〉市町村長の過誤――による記載の訂正について再製の申し出があった場合に限定している。今回、法務省は法改正はせず、「プライバシーへの配慮」に関する通達を出すことにした。
 非嫡出子の続き柄表記を巡っては、1991年2月に社会保険庁が保険証の表記を「子」に統一、95年3月には住民票の表記も「子」に統一された。

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