桜前線

１月下旬、沖縄本部半島の今帰仁城址から始まった桜前線は、３月中旬から下旬にかけて九州、四国地方に上陸します。高知、為松公園、宇和島の円山公園、福岡の大堀公園などが日本で一番早く咲きます。沖縄に咲く桜は寒緋桜、日本本土の桜の開花を知らせるのは染井吉野です。桜の開花宣言は気象庁の指定した染井吉野の桜の木から１０個の蕾を採取し、その重さが１５グラムを越えたときに出されるそうです。４月の初めに京都の常照皇寺の垂れ桜や天竜寺の桜、奈良の吉野山の１０万本の桜を咲かせ、間もなく東京の桜を咲かせます。南四国から関東までの約千キロの距離を一日１００キロ、１０日間で突っ走ってくる桜前線も、東京から青森まで約６００キロを進むのには１日２０キロ、一ヶ月もかかるのです。 　花の命は短くて、苦しきことのみ多かりき。桜の命も短く、しかも哀れです。いさぎよく散る。そんな頽廃的な部分を誇張し、武士に愛され、戦士たちに愛された桜は、常に哀れを至極の美として咲くのです。

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