梅雨の季節

 

                                地 軸 2004.05.30(日)  

 暦の上では、「入梅」はあらかじめ決まっている。「八十八夜」「二百十日」など季節を表す雑節の一つで、今年のカレンダーでは六月十日だ。と思っていたら、もう実際の梅雨入りである▲ 前線が停滞し始め、平年と比べても、昨年と比べても少し早い梅雨の季節となった。風物詩・ホタルの便りが各地から届いている。アジサイが咲くのも早めだとか。暦は杓子(しゃくし)定規だが、やはり季節の移ろいは気ままだ▲
 お天気博士で知られる倉嶋厚さんが次のように書いていた。五月は英語で「月々の中の女王(クイーン・オブ・マンス)」と呼ばれ、新緑の輝く美しい季節。これに続き、六月は「月々の中の月」としてたたえられる。それに比べると、日本では六月賛歌の声は小さい。うっとうしい梅雨に入るからだろう―と▲ 確かに六月の印象は五月よりも薄い。梅の実が熟するころだから梅雨というが、「黴雨(ばいう)」と書いたりもする。もちろん、穀物の生育を助ける「瑞雨(ずいう)」にもなるのでマイナスばかりではない。梅雨のタイプとして、じめじめの陰性型とドカ降りの陽性型に分けることもできる▲ 一足早く梅雨空に覆われているような国会。焦点の年金改革は、五月雨的な未納問題で国民から総すかんを食った形だ。雨宿りでもあるまいが、論議が見えてこない。拉致問題もすっきりと青空が望めない▲ 梅雨明けは七月の参院選ごろかもしれない。それまでに、活発な論議を呼び起こすための適当な雨がほしい。それで「雨降って地固まる」かも。
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