水源地探訪@土佐町の巨木

四国の水がめ早明浦ダムのある町で人々に慕われる巨木

 森が水をたくわえ、はぐくむことは今さら申し上げることでもないかと思います。しかし、この関係などから四国最北端の半島の町に住む筆者が水源地の高知県へ訪れるようになりました。四国の水がめ早明浦ダムのある高知県の嶺北(れいほく)地方の森には、全国でも有名な大豊町の大杉をはじめ、人々のいとなみをながく見まもってきた巨木がたくさんあります。その一部にはなりますがシリーズでそれらをしょうかいします。おもしろそうだと思ったらぜひおとずれて、皆さん自身の目でたしかめてみてください。また、森の中やそばを流れる水のようすも見てみてください。第1回目の今回は早明浦ダムのおひざ元・土佐町にある巨木です。



(1)平石(ひらいし)の乳銀杏(ちちいちょう)

 そびえたつダムのおおしいすがたを右がわにながめた後、さらに車を20分ほど走らせて着いた先は、国道439号線から平石川ぞいに少し入りこんだ、川ぞいにある小さな集落。車をとめたりんご農園のもぎたてりんごの香りを楽しみながら3分ほど坂を登ると、「・・・。」思わず息をのんで見とれてしまった。生まれて700〜800年はたつというこのイチョウは、チチイチョウの名前が表すように、気根(きこん)とよばれる乳の形をした枝から空中にたれる根をたくさん持っていて、それが老人のひげみたいに見え、まるでアニメに出てくる森の王様のよう。国のてんねん記念物にもなっています。すぐそばには、その横を通りぬけるときに「りっぱだな!」と感心した、びしゃもん天の四本杉(いずれも400才ぐらい)がありますが、それらが王様を守っている騎士のようにも見えました。おとずれたのは、まだまだ暑さの残る8月末でしたが、森から流れ出るいくすじもの水が道路ぎわに落ち、道から手を差しのべるだけで取れたその冷たくきれいな水が、心身ともリフレッシュしてくれました。




(2)かんのん堂の金木犀(きんもくせい)
 
キンモクセイと聞いて多くの方は、庭に植えられていて秋に良いかおりがするきゃしゃな木を想像されるのではないでしょうか。ダムのおひざ元、土佐町中島にある中島かんのん堂。その境内にそびえるのが1200才と言われているこの巨木。目の高さほどのところから3つに枝分かれしていますが、その1本1本がクスノキの大木を思い起こさせる堂々たるもの。花の時期には金色のじゅうたんが広がり、そのかおりは周囲4kmにもおよぶという話です。最近の子供さんの中には「キンモクセイとラベンダーはトイレのかおり!」といやがられる向きもあるそうですが、ぜひ本物の香りを注意ぶかくかいでみられてはと思います。



(車で行かれる方へ)
観音堂周辺には駐車スペースがないので国道439号線沿いの木遊館・樹華夢の駐車場か、その少し東にある高知銀行裏の環境改善センター(土佐町役場田井支所)駐車場に置いてくれればよいとのこと。どちらからも徒歩10分ほど。
《情報提供:土佐町役場企画振興課》


(2002年8月26日取材)